美味しいレモンを収穫するために、肥料は欠かせない存在です。
この記事ではどのような肥料を、どのような方法で、いつ与えれば良いのかを解説していきます。
▼レモンの育て方全般について、季節ごとに作業項目をまとめた記事はこちら。
このほかにも、一般家庭における自家栽培レモン(鉢植え/地植え)の育て方や栽培手法など、様々な知見をまとめています。
なお、レモン以外にもミカンやユズなど柑橘類全般に適用できる育て方のポイントとなっています。
- レモンの成長サイクルからわかる肥料の必要時期
- 春先の肥料(1~3月)
- 春~秋の肥料(2~11月)
- 冬前の肥料(11~12月)
- 柑橘系果樹用の肥料を使うのがベスト
- 肥料の与えるタイミングと与え方
- 正確な肥料の分量と計算
- さいごに
レモンの成長サイクルからわかる肥料の必要時期
レモンは肥料をたくさん必要とする果樹です。
肥料を与えるタイミングには解説している方によってばらつきがありますが、一貫して言えることがレモンの成長サイクルに合わせた肥料を与えれば良いということです。
レモンは冬の間、水や栄養の吸収を抑え、動物で言うところの冬眠に近い「省エネモード」に入ります。
そして春になると成長をはじめ、夏・秋と成長を続けます。
春~秋まで成長を続け、芽を出し枝葉を成長させ花を咲かせ実を実らせます。
この春~秋にかけての激しい成長期があるからこそレモンは肥料をたくさん必要とするわけです。
肥料の必要時期の考え方はとても簡単です。
- 春に芽吹いた枝葉はよく実を実らせるため春の始めの肥料は重要(春先の肥料)
- 成長を続ける春~秋の間、肥料を絶やさない(春~秋の肥料)
- 収穫を終えて栄養が不足した秋の終わりに肥料を与える(晩秋の肥料)
ポイントはこの3点です。
春先の肥料(1~3月)
春先の肥料はすべての肥料のなかで最も重要です。
なぜなら冬の間、活動を停止していたレモンの木が活動を再開し、新しい枝葉となる芽を芽吹かせるためです。春に芽吹く芽は、夏・秋に芽吹く芽に比べてよく実をつけるため最も重要です。
肥料を与える時期は、冬の寒さが残る2月ころです。
関東であれば2月、暖かい地域では1月、寒い地域では3月と地域によって違いがあります。
まだ寒いものの、たまにぽつぽつと暖かい日が出てくる時期が頃合いです。
緩効性の肥料を与えます。
春~秋の肥料(2~11月)
レモンは春から秋にかけて絶えず成長を続け、花を咲かせ続けます。
この間、肥料を絶やさないようにします。
時期は2~11月としていますが、これまた時期によって異なります。
肥料を与える時期の目安としては以下の通りです。
開始時期:春に小さな芽が芽吹き始めたころ
終了時期:成長や開花が緩やかになり収穫を終えたころ
肥料を切らさないように2~3回に分けて与えます。
こちらも緩効性の肥料を与えます。
冬前の肥料(11~12月)
収穫を終えたレモンの木に肥料を与えます。
ただし、収穫のタイミングが12月以降になる場合には、収穫を終えてからでは遅いです。おおよそ収穫できる実が成長して黄色く色づき始めたころに与えてください。
時期は地域によって差がありますが、収穫を終えて開花や木の成長が緩やかになり始めたら頃合いです。完全に寒くなって冬になると遅いので注意してください。
収穫のなかった年やほとんど実が実らなかった年にはこの肥料は不要です。
こちらは即効性の肥料を与えます。
この肥料を活動が停止する冬に残さないようにしましょう。
柑橘系果樹用の肥料を使うのがベスト
次の項目で必要となる肥料の成分量を細かく解説していますが、あまり深く考えるよりは柑橘系果樹用にメーカーがベストな成分を配合している専用肥料を使うことをオススメします。
春先の肥料や春~秋の肥料に使用される緩効性の肥料として特にオススメするのは、「ハイポネックス 錠剤肥料シリーズ かんきつ・果樹用」です。
私が実際に使ってきて、最も使いやすく価格も安いということで重宝しています。
また、晩秋の肥料は即効性の肥料を使用します。
私が使用しているのは
こちらの「住友化学園芸 ベジフル液肥」です。
肥料の与えるタイミングと与え方
肥料の与え方や与えるタイミングは、基本的に肥料のパッケージにある通りで構いませんが、私のオススメの肥料の与え方を紹介します。
使用するのは先ほど紹介したハイポネックス 錠剤肥料シリーズ かんきつ・果樹用 30錠です。
肥料を切らさず、肥料を与えすぎて発生する「肥料やけ」を抑える絶妙な与え方だと考えています。
春先の肥料
寒さの残る冬の終わり、春の始めころに与えます。
レモンから新しい芽が出る前が望ましいです。
ハイポネックス 錠剤肥料シリーズ かんきつ・果樹用 30錠を規定量与えます。
これで、おおよそ後述する正確な肥料の分量と同じくらいの成分を与えることができます。
春~秋の肥料(5月・7月・9月)
先ほど2~11月と解説した春~秋の肥料です。
1度目は5月ころ、春らしくなって桜が散ったころに与えます。地域によって時期は前後しますが、桜が散ったころが頃合いです。レモンの花が咲き乱れ始める時期です。
2度目は7月ころ、梅雨が明けたころが頃合いです。レモンは春・夏・秋と3回に分けて新たな芽が発生しますが、夏の芽が発生する時期です。レモンの実が大きくなり始める時期です。
3度目は9月ころ、暑さもピークを越えたころが頃合いです。レモンの果実は大きくなってきていますが、収穫まではまだ時間がかかります。秋の芽が発生する時期です。
ハイポネックス 錠剤肥料シリーズ かんきつ・果樹用 30錠を規定量の3分の1与えます。
冬前の肥料
レモンの収穫後、本格的な冬が来る前に与えます。
「住友化学園芸 ベジフル液肥」を規定量である1000倍希釈にして1週間に1回与えます。
最大で4週間かけて4回与えます。
出来れば寒さがきつくなる12月半ばより前に肥料を与え切りたいので、11月半ばころから肥料を与え始めると良いです。
収穫が終わってなくても、収穫できる見込みの実が十分に育っていれば肥料を与え始めて構いません。
もし4回与える前に寒さがきつくなってきたら、肥料を与えるのはやめてください。
正確な肥料の分量と計算
肥料の分量は肥料のパッケージにあるものに従っても構いませんが、基準となる肥料の量を紹介します。
チッソ | リン酸 | カリウム | ||
---|---|---|---|---|
春先の肥料 | 8号 | 3 g | 1.8 g | 1.2 g |
10号 | 4.5 g | 2.7 g | 1.8 g | |
15号 | 9 g | 5.4 g | 3.6 g | |
0.5m | 10 g | 6 g | 4 g | |
1m | 15 g | 9 g | 6 g | |
2m | 50 g | 30 g | 20 g | |
4m | 250 g | 150 g | 100 g | |
春~秋の肥料 | 8号 | 1.8 g | 1.8 g | 1.8 g |
10号 | 2.7 g | 2.7 g | 2.7 g | |
15号 | 5.4 g | 5.4 g | 5.4 g | |
0.5m | 6 g | 6 g | 6 g | |
1m | 9 g | 9 g | 9 g | |
2m | 30 g | 30 g | 30 g | |
4m | 150 g | 150 g | 150 g | |
晩秋の肥料 | 8号 | 1.2 g | 1.2 g | 1.2 g |
10号 | 1.8 g | 1.8 g | 1.8 g | |
15号 | 3.6 g | 3.6 g | 3.6 g | |
0.5m | 4 g | 4 g | 4 g | |
1m | 6 g | 6 g | 6 g | |
2m | 20 g | 20 g | 20 g | |
4m | 100 g | 100 g | 100 g |
号数表示は鉢植え、m表示は庭植えの樹冠直径を表しています。
鉢の号数は購入時に表示があると思いますが、わからない場合には直径を測ってみるとおおよその号数がわかります。
一般的には10号といえば内径が10寸、つまり内径30cmの鉢のことを指します。
庭植えの場合の樹冠直径とは、枝葉まで含めた木の直径を表しています。
なお、これらの分量は目安です。
肥料によって成分の比率も異なるため完全に一致させることは難しいです。
おおよそ近しくなっていれば問題ありません。
肥料の計算方法
肥料には、必ずチッソ(N)、リン酸(P)、カリウム(K)の含有量が表示されています。
例えば、一般的な化成肥料である以下の商品であれば8-8-8と記載があります。
このように、肥料には必ずこの表示があります。
8-8-8の意味は、肥料の中にチッソ(N)が8%、リン酸(P)が8%、カリウム(K)が8%含まれているという意味です。
こちらの商品(サンアンドホープ 有機入り化成オール 8号)は5kg入りの肥料ですから、チッソ・リン酸・カリウムがそれぞれ 8% = 400g ずつ含まれているというわけです。
例えば、春先の肥料として10号の鉢植えレモンに与えるチッソは先ほどの表によれば4.5gが目安です。
サンアンドホープ 有機入り化成オール 8号を5kg使うとチッソが400gですから、55g与えればチッソが約4.5g与えられるというわけです。
お好きな肥料を使う場合には先ほどの表を参考にしてみてください。
なお、先ほど私がオススメした「ハイポネックス 錠剤肥料シリーズ かんきつ・果樹用」は8-10-9となっています。
チッソ(N)、リン酸(P)、カリウム(K)ってなに?
チッソ、リン酸、カリウムとは、肥料の成分のなかで特に効果が大きいと言われる3つの栄養素です。
チッソは、植物を大きく成長させるために必要な成分です。
特に葉の成長に重要ですから、葉が命のレモンにとっては非常に重要な成分です。
リン酸は、花を実を実らせる際に必要となる成分です。
カリウムは、根の発育を促す効果があります。
さいごに
レモンの肥料について解説しました。
春先に1回、春~秋の成長期には少なめの肥料を絶やさず、収穫後には液体肥料をたっぷり与えるのがポイントです。
▼レモンの育て方全般について、季節ごとに作業項目をまとめた記事はこちら。
▼その他の自家栽培レモンの育て方や栽培手法などは【レモンの自家栽培方法】カテゴリーからご覧ください。
なお、レモン以外にもミカンやユズなど柑橘類全般に適用できる育て方のポイントです。