2020年2月23日
美味しいレモンを収穫するために、春(3月~6月)にやらなければいけない作業をまとめています。
詳しくは作業項目ごとに解説しますが、この3月~6月という時期は目安です。地域により寒暖差があるため、暖かい地域ではやや早く、寒い地域ではやや遅くなるなど誤差があります。
▼他の季節の作業内容のまとめはこちらのリンクからご覧ください。
このほかにも、一般家庭における自家栽培レモン(鉢植え/地植え)の育て方や栽培手法など、様々な知見をまとめています。
なお、レモン以外にもミカンやユズなど柑橘類全般に適用できる育て方のポイントとなっています。
春はレモンの活動再開期
レモンは冬の間、栄養や水の吸収と成長が鈍ります。
冬を越えるために動物で言うところの冬眠のような状態に入るわけです。
そして、春になると冬眠からあけて活動を再開します。
冬は控えていた水やりも、春以降は3日に1回程度(土の表面が乾いたら)は行ってください。
活動を再開したレモンは成長を始め、秋の終わりにかけて断続的に新しい芽が生え、枝葉が成長し、花を咲かせ、実をつけると大忙しです。
特に春に芽吹いた芽は、将来的によく実をつける優秀な枝葉に成長します。
夏や秋にも新しい芽が出ますが、夏や秋の芽が成長してもあまり実をつけない枝葉になりがちです。
このため夏と秋の芽は摘み取り、春の芽を大事にすることがレモンをたくさん実らせるポイントです。
特に春の始めは寒さも和らぎ、成長も本格化していない唯一の機会です。
剪定や植え替え、苗木の植え付けなど木への負担が大きな作業は必ずこの機会を逃さず春の始めに行います。
剪定
剪定の時期
剪定は3月の初旬ころに行います。
目安としては春に芽吹き始める新芽が出始めたころです。
新芽が出る直前が望ましいですが、判断が難しいです。そのためよく観察して、新芽が見つかったら剪定の時期だとお考え下さい。
剪定の必要性
剪定は必ず行わなければいけないものではありません。
以下の3つの条件のいずれかが見つかった場合のみ剪定を行います。
- 大きく成長しすぎた部分がある
- 枝葉が密集しすぎている
- 長く伸びすぎた枝(40cm以上)がある
剪定のやり方
剪定は詳しく説明すると長くなるため、以下の記事にまとめてあります。
以下の記事中でも解説していますが、剪定ばさみを使って綺麗に切り落とすことと、癒合剤を塗布することが肝要です。
また、この春先に行う剪定の目的は「密集しすぎな枝葉を減らす」ことにあります。
つまり、剪定の方法はお好み、自由自在です。
例えば私はベランダでレモンを栽培するため、ベランダの形に合わせた木の形に剪定しています。
詳しくはこちらの記事で。
植え替え
植え替えの時期
植え替えは3月の初旬ころに行います。
時期としては剪定と全く同じです。春の新芽が芽吹き始めたころが頃合いです。
植え替えの必要性
植え替えは必ず行わなければいけないものではありません。
鉢植えでレモンを育てている場合で、なおかつ以下の3つの条件のいずれかに該当した場合には行ってください。
- 水はけが悪く、水をやってもすぐに土に染み込まない
- 鉢底から根が飛び出ている
- 2年以上植え替えをしていない
2~3年に1度は植え替えをすることが推奨されています。
植え替えのやり方
植え替えのやり方はとても簡単です。
用意するもの
- 今の鉢より一回り大きな鉢(鉢を大きくしたくない場合は不要)
- 土
- 鉢底石
鉢は基本的に一回り大きな鉢へ植え替えます。
場所の都合等で鉢を大きくしたくない場合には、鉢を大きくしない植え替えの方法もありますので後程紹介します。
土は一般的な園芸用の土で構いません。
もし選択に悩まれるのであれば、柑橘類に適した土も販売されています。
鉢底石は、鉢底から土が流出しないためのものでなんでも構いません。
植え替えの手順
①レモンの木を引き抜く
まず始めにレモンの木を引き抜きます。
レモンの木は丈夫ですから、幹の根元を掴んでグッと上に引き上げます。
簡単に抜けない場合には揺らしたり、鉢を叩いたりしてみてください。
②根を軽くほぐす
引き抜いたレモンの根を軽くほぐし、古い土を落とします。
硬い部分を無理にほぐす必要はありません。
長く太い根が飛び出している場合には、短く切り詰めてやると根の発育が促されます。
もし鉢を大きくしない場合には、ここで根が一回り小さくなるように全体的に切り詰めてください。
③新しい鉢に鉢底石を敷き、土を入れる
新しい鉢に鉢底石と土を入れます。
レモンの木を入れて丁度良い高さになるように土を入れます。
④レモンの木を入れ、隙間に土を入れる
レモンの木を入れて、隙間を土で埋めます。
先ほど紹介した柑橘類に適した土や、一般的な培養土には肥料が十分含まれているため植え替えの際にあえて肥料を入れてやる必要はありません。
⑤水やりをする
水をやり、土のかさが減ってしまった場合には土を継ぎ足します。
詳しくは以下の記事で解説しています。
受粉
受粉の時期
受粉はレモンの花が咲き始めたころから随時行います。
受粉の必要性
受粉は基本的にハチやチョウなどの虫の力で行いますが、虫が少ない環境や室内栽培の場合には人工授粉が有効です。
人工授粉のやり方
人工授粉のやり方はとても簡単です。
レモンは一つの花のなかにめしべとおしべが両方存在する両性花です。
めしべとおしべのあるあたりを、筆でかき混ぜるようにしてやれば人工授粉は完了です。
たまにめしべがない不完全な花が出来ることがありますが、これは栄養状態が悪い場合に多く発生します。また、自然に花が落ちてしまう場合や軽く触れただけで花が落ちてしまう場合も同様に栄養不足が原因であることが多いです。
肥料の与えすぎは肥料やけを起こす原因になりますので、適切に肥料を与えることを心がけてください。
詳しくは以下の記事で肥料の与え方を解説しています。
肥料
肥料の時期
春半ばまでは冬の終わりに与えた肥料の効果が持続しています。
春の後半(4月末~5月)には追肥が必要になります。
時期としては、レモンの花がたくさん咲き、桜の花が散ったころが頃合いです。
肥料の必要性
レモンは春から秋にかけて成長を続け、花を咲かせ続けます。
この特性から、美味しいレモンをたくさん収穫するには春から秋にかけて肥料の効果を持続させ続けることが重要です。
レモンが活動を再開させる前の冬の終わり~春の前にまとまった肥料を与え、春~秋にかけては肥料を2~3回に分けて与えて肥料を効かせ続けることが重要です。
春の後半には肥料が切れ始めるため、肥料を追加で与える必要があります。
肥料のやり方
肥料は規定量の3分の1程度を与えます。
詳しくは以下の記事で解説しています。
害虫対策
春になって暖かくなると虫も活動を増し始めます。
レモンにつく害虫のなかでは、アブラムシが目立ち始める時期です。
特に春に芽吹いたばかりの新しい葉の裏側などにアブラムシがついていることが多いです。
水で洗い流すなどして除去するか、殺虫剤を使っても構いません。
私は春以降になると、定期的にこちらの殺虫剤を散布しています。
アブラムシに対しては1カ月程度持続する効果があり、病原菌を防除する効果もあります。その他にも、レモンにつきがちなカイガラムシ、ケムシ、ハムシ、アザミウマなどたくさんの虫や病気に効果が見込めます。
さいごに
春のレモン栽培のポイントを紹介しました。
▼レモンの育て方全般について、季節ごとに作業項目をまとめた記事はこちら。
▼その他の自家栽培レモンの育て方や栽培手法などは【レモンの自家栽培方法】カテゴリーからご覧ください。
なお、レモン以外にもミカンやユズなど柑橘類全般に適用できる育て方のポイントです。