2020年1月17日 加筆修正
当サイトでは中古BMWに安く・楽しく乗るための様々な知識を紹介しています。
この記事では、「BMWは壊れる」(壊れやすい、故障が多い)という意見について考えてみたいと思います。
また、以下の記事ではBMWを購入する際の注意点やチェックポイントなどをまとめています。
是非参考にしてみてください。
よくあるBMWの故障の実例
まずはじめに、BMWでよくある故障の実例を3つ紹介します。
それぞれ違った特徴のある故障です。
例1:クーラントホースなどの破損による水漏れ
クーラント(冷却水)は、ゴム製のホースや樹脂製のタンクのなかを通りエンジンを冷却しています。
クーラントは沸点を高めるために加圧されており、ゴムや樹脂が劣化することで漏れ出します。
これは、BMWでよくある故障のひとつです。
(正確にはあらゆる車種でありがちの故障のひとつです。ただし日本車はこの手の故障に滅法強い。)
原因は、エンジンルーム内の熱やクーラントの温度変化、加圧、走行中の振動、経年劣化です。
残念ながらBMWを始めとした輸入車のゴムや樹脂の耐久性は総じて低いです。
最近では改善が見られますが、日本車並みとは言えないレベルにあります。
とはいえ10年やそこらで壊れるほど弱くはありません。
ドイツの工業界において、90年台前半にリサイクル素材が多用され始めた時期がありました。
素晴らしいことではありますが、当時は技術が追いついておらず品質の低い製品がたくさん作られました。
近年では品質が改善されてきており、10年以内にこうしたゴムや樹脂製品が劣化することは少なくなりました。
これらの部品が破損した場合、クーラントが漏れ出します。
破損の程度が大きければ即座に走行不能になります。無理に走行しようとするとエンジンがオーバーヒートするでしょう。
こうしたゴム・樹脂パーツの劣化は見た目ではわかりづらく、定期交換を明示されている部品でもないため破損して初めて劣化を知ることになります。
BMWを長く維持されている方のなかには、故障前に交換してしまう方も多いです。
この故障はよくあるケースでありながら、発生した途端に走行が困難になります。
車に詳しくなければないほど「BMWは壊れる」という不安が大きくなってしまいます。
破損の仕方次第ではもくもくと蒸気があがり、見た目もなかなかショッキングと言えます。
ただし、実際には故障前に小さな亀裂などが生じて、エンジンルーム内に冷却水が漏れた白い跡がみられるようになるため、事前に気づくことができます。
なお、壊れると言っても大体10年ほどは壊れません。
それ以上は運の世界ですが実際には10年以上壊れないケースが過半数です。
▼クーラントホース
例2:イグニッションコイルの故障
イグニッションコイルの故障も、BMWではよくある故障のひとつです。
イグニッションコイルはエンジンの点火装置のひとつで、非常に重要な部品です。
火花を飛ばして点火させるスパークプラグに、火花を飛ばすための電気を送り出している部品がイグニッションコイルです。
価格はやや高額で1本あたり1~2万円程度します。
4気筒エンジンなら4本、6気筒エンジンなら6本と1気筒当たり1本使用されています。
多くの場合、1本故障すると他のイグニッションコイルも寿命と判断され、全数交換を提案されることが多いです。
全数交換となればなかなかの費用になりますから、オーナーとしてはショックも大きいです。
実際には、壊れた1本だけを交換していく形でも全く問題ありません。
多くのBMWの整備記録を見ていると、かなりの確率で新車保証期間内にイグニッションコイルを交換しています。
イグニッションコイル自体は徐々に劣化していきますが、それにしても早い時期に交換している例が散見されます。
ただし、そうした新車保証期間内の無償交換を除くと、やはり大体10年くらいは壊れません。15年以上交換されていない車両も珍しくありません。
▼イグニッションコイル
例3:ガスケットの劣化(オイル漏れ・水漏れ)
こちらもよくあるケースです。
エンジンやその周辺のパーツは金属や樹脂でできています。
そうしたパーツ同士を接続するためにボルトやナットが使われますが、パーツとパーツの間にはガスケットが挟まっています。
このガスケットのお陰で、パーツ間を流れるエンジンオイルや冷却水が漏れだしません。
要するにガスケットとは「パッキン」です。
水筒やタッパーについているゴムと同じようなものです。
このガスケットが劣化して痩せ細ったり、亀裂が入るとオイルやクーラントが漏れてきます。
早ければ5年ほどで劣化し、オイルが滲みだすこともあります。
ガスケットの劣化で漏れ出すことが多いのはオイルです。
しかし、オイル漏れはすぐに症状があらわれなかったり、走行に支障がないことが多いです。
そのためディーラーやショップに車検を依頼した際に、初めてオイル漏れが発見されます。
ガスケットはエンジン周辺各部に大量に使われています。
車検や整備のたびにオイル漏れが発見されると、車の所有者は「故障ばっかり」と思うことでしょう。
しかし、以下の記事でも説明したようにオイル漏れの緊急性は低い場合が多いです。
計画的に修理することで、修理費用をグッと抑えることができます。
BMWのオイル漏れが発覚!修理が必要?緊急度や添加剤、安価な修理方法をご紹介
▼シール・ガスケット
BMWのパーツごとの耐久性を考える
続いて、BMWの車両に採用される主要な部品について、それぞれ耐久性を考えてみましょう。
エンジンについて
BMWのエンジンは世界中から高く評価されています。
それは、パワーやフィーリングだけでなく、耐久性も含めた評価です。
BMWのエンジンの耐久性は高いです。
国産車と大差ないどころか、メンテナンス次第では20万kmでも40万kmでも走ることが出来ます。
ただし、長く乗っている感想としては国産車よりは繊細です。
繊細というのは壊れやすいということではなく、メンテナンスをサボると故障が発生してしまうわけです。
適切にメンテナンスされていないエンジンは、短期的には問題が生じることは少ないです。
しかし、長期的にはそのツケが積もり積もって大きな故障や不調を招いてしまいます。
適切にメンテナンスを施すことで、エンジンを保護し、寿命を延ばし、故障を予防し、快適に乗り続けることができます。
ここで言うメンテナンスとは全く難しいことはなく、エンジンオイルをまめに交換するということです。
現在はエンジンオイルがロングライフ化し、数万kmに1回という長い交換スパンが採用されています。
しかし、長く乗りたいのであれば、交換スパンを短くすることを強くおすすめします。
実際に中古で出回る新しい車両を見ると、エンジン内がおそろしく汚い車両が散見されます。
AT(オートマチックトランスミッション)について
「輸入車のAT」に不安に不安を抱く方も多いのではないでしょうか?
BMWのATは壊れにくいです。
そもそも、ATはBMWが自前で作っていません。トランスミッションメーカーが製造しています。具体的にはZFやGMや、トヨタ系のアイシンも採用されています。
20万km以上走行した車でも故障していない車が大半です。
故障の話は検索するとちらほら出てきますが、気にしても仕方がないレベルです。
国産車でも検索すれば同じようにちらほらと故障の話が見られます。
ここ20年くらいのBMWであればATの故障を殊更心配する必要はないでしょう。
センサーや電装品について
センサーや電装品の劣化は国産車に比べて早いです。
特に熱が加わるエンジン付近の劣化は早い傾向にあります。
また、エンジン付近の部品の場合には、漏れ出したオイルやクーラントをかぶることで、更に劣化が早まる場合もあります。
早ければ5年くらいから、運が良くても15年までには劣化による故障が出てきます。
これまで多くのBMWに触れてきた感覚値としては、10年10万kmまでに1カ所、多くて2カ所。1カ所も壊れない車両も多いです。
確かに国産車よりは多いと感じますが、新車から10年乗って1カ所(せいぜい2~3万円)と考えればそれほど極端な数字ではないと思います。
10年以上経過すると段々と増えてくる印象ですが、運の要素が強いです。
灯火類、スターターモーターあたりはあまり故障例が多くありません。
故障の真実 - BMWは壊れやすいか?
故障の実例と、主要な部品の耐久性を解説してきました。
故障と言ってもゴムや樹脂パーツの劣化によるものが多く、主要なパーツ自体の耐久性は高いことがお分かりいただけたと思います。
つまり、BMWの故障の真実とは以下のようなものです。
主要な部品は壊れないが、細かいパーツが劣化して故障という形であらわれる。
そして、その劣化スピードが国産車よりちょっとだけ早い。
「BMWが壊れやすいか?」と聞かれれば、答えは No です。
壊れにくいです。
少なくとも新車から10年程度であれば、ほぼすべての車が故障知らずで走っています。
10年を経過すると、段々と故障が出てくることがあります。
しかし、その内実は先述の通りちょっとした部品の劣化です。
故障がまとめて出るわけでもなく、大きくて高額なパーツが壊れるわけではありません。
優先度の低い故障であれば、先送りにしても構わないケースが多いです。
ただし、メンテナンスを怠った車はその劣化がやや早く訪れます。
この点で国産車は多少メンテナンスを怠っても長持ちします。
また、覚えておいた方が良いのは日本車以外は基本的にここで説明したようなものです。むしろ輸入車のなかではBMWはかなり頑丈な方です。
流石に20年も経つと故障も目立ち始めます。
しかし、20年も経つと国産車であっても故障が目立ち、修理代が高い/エアコンが効かないなどの理由で廃車になることも多いほどです。
なお、実際の消耗品や故障の例は以下の記事で、費用込みで紹介しています。
例外として、このブログでも何度も述べているシビアコンディションによる使用は車を極端に痛めつけます。
渋滞の多い都市部や、近所の買い物でばかり使われている車は残念ながら長持ちしません。
そうした用途には、日本車を使うべきです。
もしBMWをそうした用途に使うのであれば、乗りつぶして早々に新車に乗り換えていくような乗り方か、念入りなメンテナンスが必要になるでしょう。
さいごに
故障には優先順位があります。
先延ばししても構わないものもありますし、日頃のメンテナンスで防げるものもあります。
国産車に乗っていると、ディーラーから案内がある1~2年ごとの定期点検しかメンテナンスをしないというユーザーが非常に多いです。
国産車はそれでも十分かもしれません。
しかし、輸入車に関してはまだまだユーザー自身が日頃から車の状態をチェックしていく必要があります。
乗っていて異音や違和感がないか、たまにボンネットを開けて拭き掃除がてら目に見える異常がないかを確認すれば十分です。
最近では、新車から10年程度であれば国産車感覚で乗ることができるようになりました。
しかし、それ以上長く乗り続けたい、10年以上経過したBMWに乗りたいというのであれば、日頃から愛車の状態に気を配りましょう。
もし自身で点検することが難しいと感じるのであれば、半年に一回程度ディーラーや近所の車屋さんで点検してもらうと良いでしょう。
それ以上はDIYに挑戦しても良いでしょうし、お店に任せても良いです。
是非、BMWを所有した際には、車とより深く付き合うことでより良いカーライフを送ってみてください。