✔ 2019年5月14日 加筆修正
この記事では
■ 2台の中古BMWの維持費の実例
■ あらゆる部品を網羅した維持費の試算
この2点を通して「維持費ってどれくらいなの?」という疑問にお答えしていきます。
この記事に辿り着いたみなさんは、BMWの維持費について調べたことがあると思います。
望むような答えが見つかったでしょうか?
おそらく見つかっていないと思います。
なぜなら、BMWの維持費は「乗り方」と「整備状況」によって変わるからです。
車といっても所詮はただの機械です。
負担の少ない使い方をして、適切に整備を施せば壊れません。
当ブログでは、中古BMWを買い維持するための様々な知識を紹介しています。
もちろん他の記事で維持費に触れたこともありますが、今回は実例と合わせて具体的な維持費の想定をしてみたいと思います。
なお、当記事の末尾にて維持費に関する記事のリンクを張っておきますので、更に詳しく知りたい方はそちらもご参照ください。
基本的なメンテナンス費用から故障まで、出来る限りの情報を詰め込んでご紹介します。
- はじめに
- 実例紹介
- 基本的なメンテナンス
- 消耗品のメンテナンス
- 快適性を高めるメンテナンス
- 故障および定期的な交換を推奨される部品(※注意あり)
- ※注意
- その他の故障の修理
- 維持費を抑えるコツ
- まとめ
はじめに
ある2台のBMWの維持費の実例を紹介します。
なお、ここで紹介する金額は目安ですのでご注意ください。
ディーラーで整備すればもっと高くなります。
メンテナンスプランを練って計画的に整備したり、ディーラーより安価なショップやDIYを駆使すればもっと安くなります。
実例の紹介の後、維持費を以下の4項目に分けて解説・試算していきます。
基本的なメンテナンス | 車の状態を維持するための基本的なメンテナンス項目です。 |
---|---|
消耗品の交換 | 車を使うに従って徐々に消耗していく部品のメンテナンス項目です。 |
快適性を高めるメンテナンス | 車を使うに従って性能が落ちる部品のメンテナンス項目です。 |
故障および定期的な交換を推奨される部品 | 経年劣化等によって劣化が進み、いずれ故障する部品のメンテナンス項目です。 |
もしあなたがBMWの購入を検討している段階であれば、以下の記事も是非あわせてご御覧ください。
実例紹介
中古で購入を検討される方も多そうな2車種の実例を紹介します。
3シリーズ(2005年式)と5シリーズ(2003年式)という古い2台です。
この古い2台をピックアップした理由は2つあります。
ひとつは、3シリーズと5シリーズは流通量や購入を検討している方が多い車種だからです。
ふたつめは、これより新しいモデルになるとまだまだ故障知らずの車が大半だからです。意外かもしれませんが、10年落ち程度のBMWはほとんど壊れません。
ここではエンジンオイル交換のような基本的な整備項目は除き、故障修理にかかった費用を紹介します。
エンジンオイル交換を始めとした基本的なメンテナンス費用は後述します。
2005年式 3シリーズ(E46)の例
車種 | 3シリーズ(E46) |
---|---|
年式 | 2005年 |
保有期間 | 2011年~2015年 |
走行距離 | 11万km~17万km |
走行距離が非常に多い1台です。
走行距離が17万kmを越えてなお、エンジンは極めて快調でした。
BMWのエンジンは非常に頑丈です。オイル交換さえ怠らなければ30万kmでも40万kmでも乗り続けることができるでしょう。
また、シビアコンディション(※)の走行が少なかった点もエンジンの状態を良く保つことができた要因でしょう。
※シビアコンディションとは、渋滞路の走行や短距離の走行を指します。
渋滞した道や近所への買い物はエンジンへの負担が大きくなるということです。これはエンジンの構造上致し方ないことです。
日本車はこのシビアコンディションに極めて強いです。
故障
故障部品 | 修理費用 | 備考 |
---|---|---|
カムシャフトセンサー | 17,000円 | 社外部品(Febi)を使用 |
スターターモーター | 34,000円 | 中古部品(※) |
※スターターモーターは滅多に故障する部品ではありません。そのため中古品に交換しました。新品は30,000円ほどです。
17万km以上走行したものの、修理費用が高額になるオルタネーターやコンプレッサー、燃料ポンプなどの故障はありませんでした。
オルタネーターやコンプレッサー、燃料ポンプといった高額な部品の故障は走行距離よりも運に左右されます。
20年経過しても壊れない場合もあれば、もっと早く壊れてしまうこともあります。
これは日本車でも同様で、日本車であっても20年経過するとコンプレッサーが壊れてしまうなどよくあることです。
なお、BMWでは特に高額なコンプレッサーに日本製部品を採用しています。
税金やオイル交換などの基本的なメンテナンスを除けば、4年間で計51,000円でした。
みなさんが気になるであろう「車検」は、特に故障がなければ税金と車検の手数料しかかかりません。つまり、国産車と変わらないということです。
車検に合わせて基本的な整備を依頼したとしても、せいぜい10~15万円程度でしょう。
2003年式 5シリーズ(E39)の例
車種 | 5シリーズ(E39) |
---|---|
年式 | 2003年 |
保有期間 | 2015年~2018年 |
走行距離 | 6万km~9万km |
故障
故障部品 | 修理費用 | 備考 |
---|---|---|
タンクベントバルブ | 14,000円 | 社外部品 |
オイル漏れ | 35,000円 | 純正部品 |
税金やオイル交換などの基本的なメンテナンスを除けば、3年間で計49,000円でした。
いずれも走行に影響するものではなく、無視して乗り続けても良い程度の故障でした。こうした故障の緊急度を知ることも、BMWを安く維持するためのコツと言えます。
先ほどの3シリーズでも出てきた「社外品」の部品とは何でしょうか?
BMWの部品には、大きく分けて「純正部品」「OEM部品」「社外部品」の3種類があります。
「純正部品」はディーラーで購入できる部品です。
「OEM部品」は「純正部品」より3割程度安く、品質もほぼ同じです。
「社外部品」は「純正部品」より3~8割程度安く、品質はメーカーによってバラバラです。
BMWを安く維持するには、この部品の使い分けが重要です。
詳しくは以下の記事で解説していますので気になる方はチェックしてみてください。
維持費を振り返って
以上、やや古く維持費も高くなりがちな2車種の例を示しました。
良い車を選ぶこと、不要な整備をしないことに気を付ければ維持費は決して高くありません。
確かに日本車ほどの耐久性・信頼性はありません。
部品自体も高額です。
しかし、維持費を理由に購入を止めるほど、ハードルは高くありません。
そもそも車選びを間違えなければ10年落ちのBMWはほとんど壊れません。
また、車検費用に関しては国産車と全く同じです。 輸入車だから高くなることは一切ありません。
車選びに関していくつか記事を書いていますので、参考にしてみてください。
こちらの記事では、車種ごとの注意点や維持の難易度を紹介しています。
基本的なメンテナンス
車を維持する上で必須となる整備項目です。
これを怠ると、短期的には影響は軽微ですが、長期的には車に負担をかけて余計な故障を招きます。
ある程度年数が経過した車で
「最近故障や不調が多いし、そろそろ乗り換え時期かな・・・」
なんて言われる車は、基本的なメンテナンスを疎かにしたことが原因です。
基本的なメンテナンスを、項目ごとに細かく解説していきます。
もし一覧だけ見たい場合には「基本的なメンテナンスまとめ」までお進みください。
なお、金額を「ショップ」「DIY」の2種類に分けて記載しています。
「ショップ」はディーラーやBMW専門店、街の整備工場など車屋さんに整備を依頼した場合の金額です。金額はショップによって違いますので目安としてください。
「DIY」は部品を購入し、自分で整備した場合の金額の目安です。
エンジンオイル交換
エンジンオイルの交換サイクルは、近年長期化の一途を辿っています。
しかし、実際のエンジン内部を見ると汚れやオイルの劣化は確実に進んでいます。
「10万km乗れれば良い」とか「フィーリングが悪化しても良い」というわけでなければ、メーカー推奨よりも短めのサイクルでの交換をおすすめします。
私は遅くとも3か月もしくは5000kmを目安に交換しています。
このサイクルを他人にまで勧めるつもりはありませんが、遅くても以下のサイクルでの交換をお勧めしたいです。
- エンジン型式がNから始まるモデル(2005年ごろ以降):1年1万km
- エンジン型式がMから始まるモデル(2005年ごろ以前):半年5000km
2005年あたりを境にエンジンが刷新されてNから始まるモデルに移行しています。
4気筒エンジンは3シリーズでいうとE46の後期、6気筒エンジンは3シリーズでいうとE90からNから始まるエンジンに移行しています。
なお、維持費を抑えるために安価なエンジンオイルを使用する場合、交換スパンを短くすれば全く問題ありません。
以下の記事で解説しています。
オイルの量は、エンジンによりますが5~7リットルくらいです。
欧州車はオイルでエンジンを冷やすという考え方があるため、日本車やアメリカ車と比べるとオイルの量が多めになっています。2000年以降の車は、カストロール社の化学合成油を純正指定としています。CASTROL EDGEで見ると、市場価格は5W-30で800円/1Lほどです。
なお、オイルフィルターは1000円~2000円ほどで購入できます。
エンジンオイルの交換1回あたりの費用例
DIY | 8,000円 |
---|---|
ショップ | 20,000円 |
エンジンオイルの交換頻度
通常であれば1年1万km。
もし渋滞が多い道を走行したり、短距離の走行が多いという場合には頻度を上げて半年5000kmが望ましいです。
現在はBMW認証も取得済みのCASTROL EDGEが非常に安く手に入るため、こちらの使用をおススメします。
クーラント交換
純正あるいはそれ相応の良いクーラントを使っているのであれば4年。
安価な社外品を使用している場合には2年で交換をお勧めします。
明確に差を感じられるようなものではなく、クーラントの品質も向上しているため交換スパンはもっと長くても問題ありません。
ただ、実際には意識してクーラント交換をする必要はないかもしれません。
なぜなら、冷却系の修理のついでにクーラントが交換されるケースが多いからです。
安価なクーラントとというのは原液で1L1000円を下回るような、例えばこうしたもののことです。
一方で純正品や純正相当品としてはこちら。
使用量は、原液であれば2~4リットル。
希釈済みのものであればその2倍ほどです。
金額は安価なもので3000円ほど、高価なで5000円ほどです。結果的に長く使える純正品や純正相当品をオススメします。
クーラントの交換1回あたりの費用例
DIY | 5,000円 |
---|---|
ショップ | 20,000円 |
クーラントの交換頻度
純正品や相当品の良いクーラントを使っている場合には4年に1回が目安です。
しかし、上述の通りクーラント単体で交換することは稀かもしれません。
ブレーキフルード交換
ブレーキフルードは、確実に劣化が進みます。
ブレーキのフィーリングや機能に関わる消耗品ですから、確実に交換したいところです。2年に1回、車検のたびに交換するケースが多いと思います。大抵の場合は車検で交換されるため、意識して交換することは少ないです。
ブレーキフルードはDOT4指定です。1Lで2000円ほどで購入できます。
なお、DIYでも実施できますが2人以上での作業をおすすめします。
車検と一緒にショップに依頼するのがおすすめですね。BMWに強いショップに車検を依頼すれば、ブレーキフルードの交換も当然のように実施してくれるでしょう。
大体、1度で500mlあれば十分ですから、費用はこれくらい。
ショップに依頼すると、工賃が10,000円くらいは取られるのが一般的です。
ブレーキフルードの交換1回あたりの費用例
DIY | 1,000円 |
---|---|
ショップ | 15,000円 |
ブレーキフルードの交換頻度
2年に1回が目安です。
重要な作業ですので、車検の際にあわせてショップに依頼すると良いでしょう。ブレーキフルードの交換を単体で頼むより安く済むはずです。車検費用に最初から含まれている場合もあるかもしれません。
エアクリーナーエレメント交換
エンジンが吸い込む空気を綺麗にしてくれるフィルターです。
ディーラーでは掃除をしながら長く使い続けることが多いです。
高い部品でもないので定期的に交換すると良いでしょう。1年に1度は汚れを掃除してやると良いです。掃除をしながら4年くらいは平気で使い続けることができます。気になる方は早めに交換しても良いでしょう。
純正品でも3000円程度です。少し安い社外品を買っても、有名メーカー製であることが多いです。本当に簡単な作業ですから、DIYをおすすめします。ショップに依頼するときは、車検や他の整備のついでに依頼すると、工賃くらいはサービスしてくれるかもしれません。
エアクリーナーエレメントの交換1回あたりの費用例
DIY | 3,000円 |
---|---|
ショップ | 7,000円 |
エアクリーナーエレメントの交換頻度
4年に1回が目安です。
ディーラーでは更に長く使い続けます。毎年1回は取り出して掃除すると良いでしょう。
エアフィルター交換
外気導入をしたときに、外気中のゴミや匂いを取り除いてくれるフィルターです。
気持ちよく乗るためにも、1年に1回の交換をおすすめします。
高いものですと、脱臭やアレルギー物質を除去したりと、高機能になります。本当に簡単な作業ですから、DIYをおすすめします。ショップに依頼するときは、車検や他の整備のついでに依頼すると、工賃くらいはサービスしてくれるかもしれません。
エアフィルターの交換1回あたりの費用例
DIY | 3,000円 |
---|---|
ショップ | 7,000円 |
エアフィルターの交換頻度
1年に1回が目安です。特に匂いが気にならないからと数年間使い続ける人もいます。
ワイパーゴム交換
ワイパーゴムの寿命は1年です。
綺麗なふき取りのためにも、1年ごとの交換をおすすめします。
また、BOSCHなどのブレードを買うと、その後はBOSCHの替えゴムが使えるというブレードも市販されていたりします。好みや経済状況にあわせて選ぶと良いでしょう。
ワイパーゴムの交換1回あたりの費用例
DIY | 5,000円 |
---|---|
ショップ | 10,000円 |
ワイパーゴムの交換頻度
1年に1回が目安です。
もしワイパーのふき取りに問題がなければ使い続けてもかまいませんが、基本的に寿命は1年であることを念頭に入れてください。
車検
2年に1回義務付けられている車検です。
車検では、いくつかの決まったポイントがチェックされます。自分で車検を通す「ユーザー車検」しても良いですが、せっかくの点検の機会ですから、ショップに依頼する方が良いでしょう。当然工賃はある程度かかりますが、一通り異常がないかチェックしてもらうことが出来ますし、一緒に何か整備をしてもらう場合には、割安な工賃で作業してもらえる可能性があります。
特に馴染みのショップがあれば、複数の作業をまとめることで工賃を浮かせ安くなります。普段はDIYされる方であっても、たまにはショップに作業を依頼して、馴染みのショップを作っておくことをおすすめします。
また、ここまで紹介した「エンジンオイル」「ブレーキフルード」「エアクリーナーエレメント」「エアフィルター」「ワイパーゴム」などの交換は車検とセットで交換することで、工賃を安く抑えることができます。
もちろんDIYで実施済みであれば、それでもかまいません。
費用としては、税金類から成る法定費用で70,000円~100,000円ほど。
これに加えて、工賃や必要な整備費用がかかります。
工賃は20,000円~40,000円ほどのところが多いでしょう。整備は必要に応じて実施しますが、車検に必要な整備だけであれば、10万円程度で十分でしょう。
詳しくは以下の記事で解説しています。
基本的に部品や作業を含まない車検費用が輸入車だから高くなるということはありません。もしあるとすれば、そのショップが輸入車に弱いというだけでしょう
基本的なメンテナンスまとめ
以上、基本的なメンテナンスをまとめました。
まとめると以下の通りとなります。
DIYの場合(車検を除く)
メンテナンス項目 | 期間・距離 | 費用 | 1年あたりの費用 |
---|---|---|---|
エンジンオイル交換 | 1年/1万km | 8,000円 | 8,000円 |
備考:オイルフィルターは2回に1回。 | |||
クーラント交換 | 4年 | 5,000円 | 1,250円 |
備考:他のクーラント関係の整備と一緒に行うと良い。 | |||
ブレーキフルード交換 | 2年 | 1,000円 | 500円 |
備考:車検時にまとめて行うのが良い。 | |||
エアクリーナーエレメント交換 | 4年 | 3,000円 | 750円 |
エアフィルター交換 | 1年 | 3,000円 | 3,000円 |
車検 | 2年 | 100,000円 | 5,0000円 |
合計:13,500円/年(車検除く)
ショップの場合(ディーラーはより高額)
メンテナンス項目 | 期間・距離 | 費用 | 1年あたりの費用 |
---|---|---|---|
エンジンオイル交換 | 1年/1万km | 20,000円 | 20,000円 |
備考:オイルフィルターは2回に1回。2回に1回は車検とまとめると安く済む。 | |||
クーラント交換 | 4年 | 20,000円 | 5,000円 |
備考:他のクーラント関係の整備と一緒に行うと良い。 | |||
ブレーキフルード交換 | 2年 | 15,000円 | 7,500円 |
備考:車検時にまとめて行うのが良い。 | |||
エアクリーナーエレメント交換 | 4年 | 7,000円 | 1,750円 |
備考:車検2回に1回、車検時にまとめると安く済む。 | |||
車検 | 2年 | 120,000円 | 60,000円 |
合計:34,250円/年(車検除く)
複数年に1回交換する部品に関しても1年換算した1年あたりの維持費の試算です。
車検を一緒にするとイメージが付きにくそうなので別にしています。
しかし、こうした基本的なメンテナンス費用に大きな差がないのはどのメーカーも一緒です。
差がついてくるのが、ふいの故障であったり、国産車とは考え方の違う消耗品の存在です。
引き続き紹介していきます。
維持費を抑えたいという方は、以下の記事も参考にしてみてください。
消耗品のメンテナンス
ブレーキパッド
ブレーキパッドは4万km~5万km程度ですり減ってきます。
高速道路や渋滞の少ない郊外の道の走行が多ければ、6万km、7万km経ってもまだまだ残量たっぷりというケースもありますので、使い方によるところが大きいです。
ブレーキパッドにはセンサーがあり、ある程度すり減ると警告灯が点灯します。
センサーは物理的にパッドと一緒に削られることで点灯する仕組みです。
点灯しても、まだいくらか残りがあるのですが、センサーが点灯するとセンサーも交換が必要になるため、警告灯が点灯する前に交換するのが理想です。
ブレーキパッドは前後セットで20,000円ほど。
センサーは1つあたり1,000円~2,000円ほど。
ショップに依頼した場合には、部品代は少し上がり、工賃は前後あわせて10,000円~20,000円ほどでしょう。
交換費用の例
DIY | 24,000円 |
---|---|
ショップ | 45,000円 |
交換頻度
5年5万kmが目安です。
使い方によっては、7年7万km程度もつことも珍しくありません。
更に長くもつこともあり、使用状況に依存します。
車検の際に残量が計測されます。
ブレーキローター
ブレーキローターは、7万km~10万kmほどですり減ってきて、交換を勧められます。
ブレーキパッド同様、走行条件によって減り方が変わります。
渋滞の多い街中ばかりを走るわけでなければ、10万km以上もつことも珍しくありません。
ブレーキローターは前後あわせて30,000円~40,000円ほど。
工賃は20,000円ほどでしょう。
実際にはブレーキパッド交換を一緒に交換することが多いでしょうから、もう少し節約できるはずです。
交換費用の例
DIY | 30,000円 |
---|---|
ショップ | 60,000円 |
交換頻度
10年10万kmが目安です。
使用状況によって、寿命が短くなることも長くなることもあります。
車検の際にブレーキパッドやブレーキローターの残量が計測されます。
もし残量が足りない場合には、車検と一緒にブレーキパッドとブレーキローターの交換を行うことで、全体の工賃を安く抑えることができるでしょう。
タイヤ
タイヤは、国産車であっても変わりありませんね。
タイヤのサイズによって異なりますが、1990年代であれば15インチ~16インチ、2000年代の車では16インチ~17インチ、2010年代では17インチ~18インチが主流です。
ここでは17インチを例にとって紹介します。
もちろん、安いアジアンタイヤを選ぶこともできます。
それでも構わないのですが、せっかくのBMWですからもう少しだけお金を出してみましょう。
例えば、アジアンタイヤに迫るほどではありませんが、かなり安価なピレリのCINTURATO P1。
有名メーカーのタイヤとしては驚異的に安価で、BMWオーナーのユーザーも多いです。
コストパフォーマンスが優秀で、評価も高いです。1本7000円~8000円。
通販で購入したタイヤの持ち込みは、受け入れてくれる場合もあれば工賃を上乗せされる場合もあると思います。
最寄りの持ち込み歓迎のショップを探すと安くあげることができます。
交換費用の例
DIY | 不可 |
---|---|
ショップ | 50,000円 |
「持ち込み歓迎」を掲げているショップの工賃は10,000円程度の場合が多いです。
交換頻度
4年4万kmが目安です。
ブレーキパッドやブレーキローター同様に、使い方に依存します。
大半の場合、4年4万km程度はもちます。更に長いことも珍しくありません。
消耗品のメンテナンスまとめ
以上、割と一般的な消耗品のメンテナンスです。
まとめると以下の通りとなります。
DIYの場合(タイヤ交換を除く)
メンテナンス項目 | 期間・距離 | 費用 | 1年あたりの費用 |
---|---|---|---|
ブレーキパッド | 5年/5万km | 24,000円 | 4,800円 |
備考:使い方により交換時期は大きく変わる。 | |||
ブレーキローター | 10年/10万km | 30,000円 | 3,000円 |
備考:使い方により交換時期は大きく変わる。 | |||
タイヤ | 4年4万km | 50,000円 | 12,500円 |
備考:使い方により交換時期は大きく変わる。 |
合計:20,300円/年
ショップの場合(ディーラーはより高額)
メンテナンス項目 | 期間・距離 | 費用 | 1年あたりの費用 |
---|---|---|---|
ブレーキパッド | 5年/5万km | 45,000円 | 4,500円 |
備考:使い方により交換時期は大きく変わる。 | |||
ブレーキローター | 10年/10万km | 60,000円 | 6,000円 |
備考:使い方により交換時期は大きく変わる。 | |||
タイヤ | 4年4万km | 50,000円 | 12,500円 |
備考:使い方により交換時期は大きく変わる。タイヤをネットで購入して持ち込んだ場合。ショップにタイヤの購入と交換をあわせて依頼するとより高額になる場合が多い。 |
合計:23,000円/年
国産車と比べると、ブレーキパッドとローターの寿命が少々短く感じるはずです。
欧州車はパッドとローターを消耗しながら制動力を確保しているため、絶対的に寿命が短いです。
それでも年間の維持費の試算は数万円程度です。
ショップに依頼する場合には、車検やいくつかの整備項目をまとめることで工賃が節約できるでしょう。
快適性を高めるメンテナンス
快適性を高め、BMWらしい気持ちよい走りを取り戻すためのメンテナンス項目です。
安全性にも関わる部品ですが、ここでは快適性を高めるメンテナンスとして紹介します。
必ずしも交換が必要な部品ではありません。
ショックアブソーバー・マウント
ショックアブソーバーとそのマウントです。
どちらも快適性に大きくかかわるほか、走行安定性にも関係します。
ショックアブソーバーの交換には以下の3つの方法があります。
- 純正品を使う
- 社外の補修用部品を使う(純正と同等品とされている社外部品)
- 社外のサスペンションキットを使う(純正より性能を特化させた社外部品)
まともにディーラーで購入する純正品を買うと、とんでもない高額になってしまいます。
社外の補修部品が、ビルシュタインやモンロー、ザックスなどの有名メーカーから用意されていますので、それらの使用をおすすめします。
価格はネットで買えば50,000円~70,000円ほど。
ショップに依頼しても100,000円はしないはずです。
マウントは前後あわせて30,000円ほどでしょう。
3番目の選択は、カスタムの領域ですね。
価格も100,000円~と幅広いですが、ここでは言及しません。
工賃は、20,000円~40,000円程度と、ショップにより幅があると思います。
ショックアブソーバーの劣化は、4年4万kmあたりから出始め、完全に劣化するのは7年7万kmくらいでしょう。
これは乗り方によって多少変わることがあります。
なお、10年10万km経っても平気で乗り続けている人が多く、気にならなければ変えなくても良いです。
サスペンションアーム・ブッシュ
サスペンションアームや、アームの連結部に使われるブッシュです。
ショックアブソーバーとあわせて交換できると理想ですが、ショックアブソーバーよりは長持ちしますので、ショックアブソーバーの交換2回に1回と考えて良いかもしれません。
ただし、そうすると交換するころには完全にボロボロです。
アームの本数や価格、ブッシュのみ交換できる場所の有無など価格は幅広いですが、基本的に新しければ新しいほど交換費用は高額になります。
理由は、アームの本数が増えたことや、ブッシュのみの交換ができず、アームごとの交換が必要なこと、そして素材がアルミへと変わったことです。
ピンポイントで主要部品だけを交換するのがおすすめで、ショップでの相談や十分な検討をおすすめします。
すべてを交換すると、部品代だけでも200,000円はくだらないでしょう。
予算に余裕があり、走りの質感を回復させたい時に、予算を決めてショップに相談に行くのが良いでしょう。
エンジンマウント
10万kmころから劣化が気になり始めます。
15万kmにもなると、アイドリング時の振動がかなり大きくなります。
そんな時に交換したいのがエンジンマウントです。
セットでミッションマウントも交換するのがおすすめです。
エンジン自体に問題がない限りは、アイドリング時の振動がピタリととまり、効果を明白に実感できる部品です。
部品は15,000円~25,000円ほど、工賃は20,000円~30,000円ほどでしょう。
ミッションマウントとあわせて交換することで工賃を節約したいところです。
ミッションマウント
エンジンマウント同様、走行距離が伸びてくると気になる振動の発生の原因となります。部品は5000円ほど、工賃は工賃は20,000円~30,000円ほどでしょう。
エンジンマウントとあわせて交換することで工賃を節約したいところです。
故障および定期的な交換を推奨される部品(※注意あり)
以下の記事で、メンテナンスが必要な個所や弱点について詳しく紹介しています。
「メンテナンスプランを考える」の項目では、どんな部品をいつ交換すべきか?いつごろから故障のリスクが上がり始めるか?が記載されています。
そのなかで、定期的な交換を推奨する部品として、以下のようなものをあげています。
※注意
- 寿命は目安であり、安全マージンを取った短めの期間です。例えば7年7万kmが寿命とあっても15年15万kmもつことも珍しくありません。
- 寿命が長めの部品の寿命を迎える前に、大抵の人は車を乗り換えます。
- 寿命が長めの部品は、「20年20万km乗るぞ!」みたいな人以外は無視してもOKかもしれません。
DIYの場合
部品 | 寿命 | 費用 | 1年あたりの費用 |
---|---|---|---|
エンジンオイル | 1年1万km | 7,000円 | 7,000円 |
エンジンオイルフィルター | 2年2万km | 2,000円 | 1,000円 |
エアクリーナーエレメント | 4年 | 3,000円 | 750円 |
エアクリーナーエレメント | 4年 | 3,000円 | 750円 |
ベルト | 3年3万km | 4,000円 | 1,300円 |
ベルトテンショナー・プーリー | 7年7万km | 15,000円 | 2,100円 |
ラジエーター | 10年10万km | 30,000円 | 3,000円 |
クーラント | 4年 | 5,000円 | 1,250円 |
エキスパンションタンク | 7年7万km | 10,000円 | 1,400円 |
ウォーターホース | 7年7万km | 18,000円 | 2,500円 |
ウォーターポンプ | 7年7万km | 30,000円 | 4,200円 |
サーモスタット | 7年7万km | 10,000円 | 1,400円 |
水量センサー | 7年7万km | 2,000円 | 280円 |
水温センサー | 7年7万km | 2,000円 | 280円 |
バッテリー | 5年 | 20,000円 | 4,000円 |
燃料フィルター | 7年7万km | 7,000円 | 1,000円 |
合計:32,210円/年
ショップの場合(ディーラーはより高額)
部品 | 寿命 | 費用 | 1年あたりの費用 |
---|---|---|---|
エンジンオイル | 1年1万km | 19,000円 | 19,000円 |
エンジンオイルフィルター | 2年2万km | 2,000円 | 1,000円 |
エアクリーナーエレメント | 4年 | 7,000円 | 1,750円 |
エアクリーナーエレメント | 4年 | 7,000円 | 1,750円 |
ベルト | 3年3万km | 12,000円 | 4,000円 |
ベルトテンショナー・プーリー | 7年7万km | 35,000円 | 5,000円 |
ラジエーター | 10年10万km | 45,000円 | 4,500円 |
クーラント | 4年 | 20,000円 | 5,000円 |
エキスパンションタンク | 7年7万km | 25,000円 | 3,500円 |
ウォーターホース | 7年7万km | 35,000円 | 5,000円 |
ウォーターポンプ | 7年7万km | 45,000円 | 6,400円 |
サーモスタット | 7年7万km | 20,000円 | 2,800円 |
水量センサー | 7年7万km | 4,000円 | 570円 |
水温センサー | 7年7万km | 4,000円 | 570円 |
バッテリー | 5年 | 30,000円 | 6,000円 |
燃料フィルター | 7年7万km | 15,000円 | 2,100円 |
合計:68,940円/年
上記部品をすべて交換すると、使う部品の種別(こちらで詳説)にもよりますが、なかなか良い金額になります。注意書きにもある通り、寿命が長い部品に関しては、あまり気にしなくてもOKです。
また、ここにある部品は予防整備できると良いことに間違いはありませんが、通常は故障してから直す項目です。
ショップで直す場合には、修理項目をまとめることで工賃が安くなることがあります。
その他の故障の修理
「定期的な交換を推奨される部品」で、多くの部品を網羅していますが、距離や時間では読みにくい部品も数多くあります。
オイル漏れ
最も代表的な故障として、オイル漏れがあげられます。
以下の記事で詳細に解説していますが、オイル漏れの修理は緊急を要さないものが大半です。是非修理を先延ばしし、別の修理と一緒に作業を依頼して工賃を節約しましょう。
なぜなら、オイル漏れの修理費用の大半は工賃だからです。
交換部品としては、安価なOリングであれば1,000円程度。
高価なホースだとしても10,000円程度です。
後者のホースは、部品点数にするとごく一部ですので、大抵の修理では部品代は微々たるものなのです。
オイル漏れは、3年目くらいで発覚しはじめることもありますし、10年以上長らくもつこともあります。渋滞が多い道を走ったり、短距離の移動が多いシビアコンディションであったり、オイル交換を怠っているとオイル漏れが起こりやすくなります。
軽症・重症の判断やオイル漏れに関する詳細についても以下の記事をご参照ください。
BMWのオイル漏れが発覚!修理が必要?緊急度や添加剤、安価な修理方法をご紹介
センサー故障
こちらもよく聞く定番の故障ではありますが、なかなか距離や年数だけでは判断が付きにくいです。早いものでは新車保証期間内に壊れるケースもありますし、一方で10万km乗っても壊れないというケースもあります。
センサーは大抵、10,000円~40,000円ほどしますし、新しい車であればあるほど数も増える傾向にあります。
距離で劣化が判断できるものとしては、O2センサーがあげられます。10万km前後の型で、燃費が落ちてきた、パワーが落ちてきた気がする、たまに警告灯が点灯するが異常は感じない、という場合にはO2センサーが原因の可能性があります。
O2センサーを含め、大抵のセンサーは、壊れても車は動きます。しかし、燃費の悪化やパワーの低下など、様々な弊害が発生します。
詳しくはこちらの記事をご参照ください。
燃料ポンプ
燃料ポンプは、大抵10年10万kmくらいは問題なく使えます。
大抵の車は、20万kmでも問題ないでしょう。しかし、ここも個体差により、早めに壊れてしまうケースがちらほら見かけられます。
いつ壊れるとも予測が難しいのですが、部品代と工賃を合わせて、高くても50,000円ほどでしょう。
基本的には心配しても仕方がありませんし、不調を知ることや点検することは難しい部品です。事前に不調が出てくれればラッキー。突然死も多い部品です。
エアコンコンプレッサー
こちらも燃料ポンプと同様です。
30年前の車は故障しているものが多く、20年前だとそこそこ、10年前だと大半は元気です。なかなか過酷な環境で動いているパーツです。日本製の部品が使われているケースが多いです。
ここも個体差が多く、運次第です。
20年20万kmくらいから故障も出てくるでしょうが、それ以前に運悪く壊れてしまうケースもあります。もしかすると使用環境にも寄るのかもしれませんが、それを予想できるほどの知見はありません。
故障すると、コンプレッサーだけで済めば良いのですが、エアコン系統をすべて交換するケースが多いです。大抵は1か所が故障してしまうと、そこを交換しても次から次へ周辺部品が故障してきます。
すべて交換する場合には、20万円~30万円は見る必要があるでしょう。
ハブベアリング
タイヤの回転部についているハブベアリングです。
15年15万kmくらいで故障(異音)が出始めます。こちらも運や使い方によるところが大きいのか、10年10万kmを待たずに異常がでた例もありましたし、逆に17万km乗ったE46では全く異常はでませんでした。
異常があった1輪分だけの交換で部品をあわせて30,000円~40,000円ほどであることが多いでしょう。
維持費を抑えるコツ
不要なメンテナンスをしない
不要というと言い過ぎですが、優先順位をつけたり、本当に必要なメンテナンスかどうかをしっかりと調べて理解したうえで判断しましょう。
良心的なショップを探し出せば、こうした点も含めて提案してもらえます。
メンテナンスをまとめて工賃を節約する
点検で故障が見つかったり、自身で異常を見つけた場合には、すぐに修理せず今後のメンテナンスプランに付け加えましょう。(緊急度が高い場合を除く)
修理をする際、同じような場所にある部品の交換であれば、工賃を節約できます。また、修理をまとめることで、必然的に1度あたりの総額が上がりますので、値引きも期待できます。
ご自身で緊急度が判断できない場合には、点検に出すと良いです。
その後、故障に関して詳細な説明を受け、緊急度についても確認しましょう。
こちらの記事で紹介したような有名なショップでも、規模が大きいところでは点検料が取られてしまいます。点検料に納得がいかない場合には、事前に確認すると良いでしょう。
良い車を選ぶ
これがそう簡単にできたら苦労はしませんが、良い車を選ぶと修理に困ることもありません。
車選びには経験と知識が求められます。
また、素人はせいぜい展示車両から良い車を見つけてくることしかできませんが、良いショップに出会い、オークション会場で良い車を選んでもらうことが出来れば、良い車に出会える可能性も高まります。信頼できるショップであれば、そのショップで長らく整備してきた車を買うという手もありますね。
基本的なポイントについてはこちらで記事にしていますので、ご参考まで。
また、毎月中古車サイト(グーネット)に掲載されている中古車からオススメ車両を紹介しています。こちらも参考にしてみてください。
まとめ
ここまで、基本的なメンテナンスや車検、よくある故障などをまとめてきました。
すべてをショップに依頼した場合の維持費は33,800円/年となりました。
一方で、DIYを駆使した場合の維持費は57,250円/年となりました。
数年に1回のメンテナンスを1年あたりに分けて計算しているため、実際の維持費には波があります。
ほとんど手がかからない年もあれば、もっと手がかかる年もあるでしょう。
また、ショップによってはもっと安いところもあれば、高いところもあります。
ディーラーであれば、この1.5倍くらいは見ても良いかもしれません。
この合計金額には、「車検」「快適性を高めるメンテナンス」「故障および定期的な交換を推奨される部品」を含めていません。
なぜなら、「快適性を高めるメンテナンス」は必ずしも必要ではなく、余裕があればやって方が良い項目だからです。
また、「故障および定期的な交換を推奨される部品」は事実上の故障であり、目安まで寿命を紹介していますが、定期交換部品とは呼べません。
この維持費を見てどう感じるかは人それぞれでしょう。
しかし、やはり国産車よりはやや高い結果になるかと思います。
故障の頻度次第ですが、国産車と同等~2倍程度を覚悟すれば、十分に乗ることが出来ます。
もちろん悪い車にあたると、買ってすぐに修理に次ぐ修理で維持費が跳ね上がることもありますから、良い車を探しだすことが最も重要です。
車検や税金を除いて、年間10万円。
毎月1~2万円も積み立てておけば余裕で維持することができます。
維持に不安を持ち始めた方には、ここら辺の記事がおすすめです。