日本車がダサい理由はオシャレの取り入れ方が下手だから
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2019年5月8日更新
最近、日本車のデザインが良くなってきています。
しかし、どうにも首を傾げたくなる部分も残っているのは事実で、私のようなデザイン素人が何も語る資格はないものの、「感想」ということでいくつか述べたいと思います。
私が思う、日本車がダサい理由はオシャレの取り入れ方が下手だからだと思うのです。
例えば、近年軽自動車からミニバンまで幅広く取り入れられているのがこちらの動画でもご覧いただける「流れるウィンカー」あるいは「シーケンシャルウィンカー」です。
超ダサいです。(個人的感想)
特に実物を見ると目を疑います。
これはオシャレの取り入れ方に失敗した顕著な例だと思います。
世に新しいデザインやその手法が現れると、日本車メーカーはそれを真似します。
これは悪いことではありません。
そのお陰で日本の自動車産業は盛り上がったし、常に欧州が先んじるわけではなく、日本車メーカーの生み出したものが欧州車メーカーに取り入れられることもあります。
しかし、ことデザインに関しては日本車メーカーが先んじることは少ない印象があります。
今回はこの流れるウィンカーあるいはシーケンシャルウィンカー(以後シーケンシャルウィンカーと呼びます)を例にとって、私が思う日本車のデザインがイマイチな理由を述べたいと思います。
シーケンシャルウィンカーが製品化されて初めて国内で登場したのはAudi A8です。
これがAudi A8のシーケンシャルウィンカーです。
デザイン単体の良し悪しは感性の問題ですが、私としてはこれが格好良いとか、おしゃれだとか、高級感があるとか、そういうポジティブな印象は持ちません。
歴史もなく軟派なオシャレさが売りのアウディらしい、目新しさだけを優先させた結果のように見えます。(欧州車、特にドイツやフランスメーカーの歴史は紐解けば面白く、いつかまた別の記事でまとめたいと思います。)
このAudi R8のシーケンシャルウィンカーは、発売当時からダサいとか安っぽいとか下品とかオモチャのようだとか酷評も目立ちました。
このシーケンシャルウィンカーは、その後ブームになります。
日本車と、そのカスタム市場において。
こうした目を引く新アイテムが登場すれば、カスタムパーツメーカーはすぐにコピー製品を作ります。
とにかく「目を引くもの」というだけで一定の需要があるからです。
派手なクロムメッキパーツや、目を疑うLED装飾、下品なファーやレザーもどきなど、今なお廃れることもなく残り続けていることからも、この「一定の需要」があることがわかります。
そして、輸入車に目を向けるとシーケンシャルウィンカーの採用は少数派です。
日本車においては最上級サルーン、レクサス・LSにすら採用されているものが、BMW・7シリーズやメルセデスベンツ・Sクラスに採用されていないのです。
このように、一部車種への採用はあるものの、デザインに重きを置く欧州車メーカーはシーケンシャルウィンカーの採用に消極的です。
ここに、そもそもシーケンシャルウィンカーがダサいのかどうか、という答えの片鱗が隠されている気がします。
先ほどちらりと書きましたが、アウディは軽薄なデザインでは突き抜けた存在です。
確かに一見すると格好良く見えるのですが、しばらく眺めれば「1年と乗る前に飽きそうだ」と感じることでしょう。デザインやブランドに歴史や伝統のないメーカーです。
”まともに売れ出した”ごく最近のアウディは、外観の目新しさを優先させる傾向にあり、シーケンシャルウィンカーを採用したA8はそのヘッドライトのこだわりで話題になったほどです。
さて、ファッションの世界でも理解しがたい最先端のオシャレが存在します。
オシャレというのは大変難しく、オシャレなものから一部を真似ても、決してオシャレになることはないのです。
誰しもが若いころに、服装に散々悩んだ経験があるはずです。
格好良い服装を真似するには「すべてコピーする」か「うまく取り入れる」かの2択です。それ以外はすべてダサくなります。
街を歩けばファッション誌に載っていそうな服を着た、ファッション誌には載らないような容姿の人がうじゃうじゃいます。見た目の良さは服の良さだけでなくスタイルや髪型や顔も含めたものなのです。
すべてのバランスが整って、初めてオシャレが成立します。
これが、まさに日本車がダサいと言われてしまう一番の理由ではないか思うのです。
シーケンシャルウィンカーが格好良いアイテムだと仮定しましょう。
しかし、そのシーケンシャルウィンカーをうまく取り入れて全体のバランスを整えられなければ意味がありません。
今、多くの日本車がデザインに力を入れ始めた一方で、失敗した大学デビューのような車が量産されてしまっています。
これこそが日本車がダサい理由だと私は思うのです。
そして、これは単にデザイナーやデザインを決定する責任者の感性だけの問題ではないと考えます。もう一つ、大きな要因があります。
それは、日本車が安く安く作られているという点です。
日本車は日本車というだけで高品質低価格と言うイメージがあります。
世界に誇るトヨタの自動車が、メルセデスベンツの2分の1の利益率しかないことからもこれは明白です。
悪く言えば薄利多売。高級路線の対極にいるわけです。
「高い品質の車を安く売る」。これは簡単なことではありません。
これに加えて最近は「オシャレ」を取り込み始めました。
「高い品質でオシャレな車を安く売る」
更に難題です。
ただでさえ薄利多売なのに、価格は据え置きでオシャレまで取り入れようとしているわけです。
これまでの日本車は、1万円かけて無難な服をユニクロで揃えていました。
今の日本車は、1万円かけて無難なユニクロの服とオシャレなアクセサリーを揃えようとしています。
失敗するのは目に見えているわけです。
日本車は、高品質低価格と言う絶対的な強みがある素晴らしい製品を作っています。
無理にオシャレや高級感といった要素を付け加えようとするから失敗してしまうのです。外見だけのオシャレや高級感では、本当にお金のある人や心が豊かな人は寄ってきません。
精巧なグッチのコピーがあっても、本物のグッチの財布を買う人がいなくならないのです。
今の日本車は迷走状態にあると感じています。
まさしく「二兎を追う者は一兎をも得ず」の状態にあります。
日本車メーカーはいずれも規模が大きく、投資は十全です。素晴らしい人材も揃っています。
いち早くこの混迷の状態から抜け出し、洗練された良質な製品を生み出してくれるように願っています。