繁殖の難しい淡水熱帯魚を繁殖させる6つのポイント
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ペットショップで販売される多くの熱帯魚は特殊な方法により繁殖を促しています。
このお陰で、従来では繁殖が難しかった魚種であっても安定して低価格で供給することが可能になりました。
アクアリウムを趣味にする者にとっては、魚の選択肢が広がりお財布にも優しいと良いことづくめです。
しかし、唯一の難点としてこうした魚種は自家繁殖が大変難しいです。
気が付いたら繁殖していたという事例は稀に聞かれるものの、一般的な設備と道具で安定して繁殖に成功している事例は非常に珍しいです。
例えば飼育の簡単なコイ科のラスボラエスペイ、多くの人に愛されるオトシンクルスなども繁殖の難しい代表的な魚です。
ここではそうした繁殖の難しい淡水熱帯魚全般について、よく言われる繁殖のポイントをまとめて紹介します。
元はオトシンクルスの繁殖に特化した記事を製作する予定でしたが、調べていけば調べていくほど魚種に特化した繁殖方法など存在せず、いくつかの手法はほぼすべての魚種に適用可能な方法であろうと判断しました。
雌雄の判別
まずはじめに、繁殖のために最低限必要な雌雄の判別方法を紹介します。
雌雄の判別方法が容易で情報も豊富な魚種もたくさんある反面で、雌雄の判別が難しい魚種もおおくあります。
ポイント1 メスはオスより大きい
代表的な雌雄の判別方法です。
稀にこの判別方法が通用しない魚もいますが、一般的にはメスがオスより体が大きいです。
体全体が大きいケースや、幅が広いケース、お腹が大きいケースなどがあります。
特にお腹が大きいケースでは、繁殖前のみお腹が大きくなる場合もあります。
冒頭で挙げたオトシンクルスもメスがオスよりも体が大きい魚です。
なお、オスがメスや縄張りを守ろうとする習性がある一部の魚種ではオスの方が体が大きいことがあります。
ポイント2 メスはオスより地味
基本的に、メスはオスより地味な色彩をしていることが多いです。
魚種によっては逆の場合や、差異がほとんどない場合もあります。
冒頭で挙げたラスボラエスペイはメスがオスより地味な魚です。
ポイント3 オスには外部生殖器がある
オスに見てわかるような外部生殖器がある魚種も多く存在します。
場所は腹びれ付近であることが多く、外部生殖器の有無で雌雄を判別することが可能です。
繁殖のポイント
繁殖の難しい魚種全般に通用する、繁殖のポイントを紹介します。
①雌雄を隔離する
以降で紹介する繁殖のポイントは、通常の飼育水槽で行うことが難しいものが多いです。
そのため、まずはじめに繁殖させたい魚種を隔離しましょう。
魚種によってオスとメスが1対1が良い場合や、複数のオスと1匹のメスが良い場合などが存在します。
まずはオスとメスを1対1で隔離し、繁殖する様子がない場合にはオスを1~2匹追加してください。
②繁殖に適した環境の構築
雌雄を隔離した水槽の環境を、繁殖に適した環境へ仕上げます。
フィルターはどのようなものでも構いませんが、一時的な隔離ですので安価でエアレーション効果も見込め、緩やかな流れを生み出すことができるスポンジフィルターがオススメです。
魚の卵は常に新鮮な水を必要とします。
そのため最低限水の動きがなくては産卵場所として適していないと判断する魚種も多く存在します。
魚種によって水草や壁面、岩など様々な物に産卵します。
魚種ごとに繁殖行動を調べ、わかる場合には適したものを入れてください。
わからない場合には以下の2点を入れることで多くのパターンを網羅することができます。
- 岩に活着させたアヌビアス系の水草
- マツモなどの強く背の高い水草
底材は基本的に不要です。
ベアタンクで構いません。
③高タンパクな餌を与える
繁殖行動を誘発させるために、高タンパクな栄養豊富な餌をたっぷりと与えます。
冷凍アカムシやブラインシュリンプなどの生き餌系は魚の食いつきも良いため最適な餌です。水の汚れはこまめに水替え・掃除することで対応しつつ、こうした栄養豊富な餌をたっぷりと与えてください。
④週1回の50%程度の大量換水
魚は環境の変化を敏感に感じ取り、時にそれが繁殖行動の引き金になります。
そのため週に1回、50%程度の大量の水替えを行います。
もちろんphは飼育水と新しいカルキ抜きした水が同一であることを確認し、温度も十分にあわせてから行います。
もし飼育している魚種が特殊なphを要求する魚の場合には、新しいカルキ抜きした水のphを調整してください。
phを下げるには「テトラ PH/KHマイナス」、phを上げるには「テトラ PH/KHプラス」が有効です。
もし飼育水と新しいカルキ抜きした水のphが異なる場合には、20%程度の換水を行い徐々に近づけていってください。
⑤水温を調整する
例えば熱帯魚の場合、多くの魚種は26度付近が適温です。
しかし、一般的に水温が上がれば代謝が活発になり、活動が盛んになります。
水温を調整可能なヒーターを使用している場合には、水温を27度~28度まで上げてしばらく飼育してみてください。高水温に弱い魚の場合には避けてください。
また、水温の変化により繁殖行動が誘発される場合があります。
ヒーターの設定温度自体を変えるというよりは、水替えの際に温度の低い/高い水を入れて水槽内の水温を一時的に2~3度変化させてみてください。
ただし、環境変化に弱い魚を弱らせる可能性があるため魚種ごとの特徴を鑑みて実施してください。
⑥phを変化させる
魚種ごとに適切なphが存在します。
大抵の場合幅があり、適切なphを越えた場合でも元気に飼育できることも珍しくありません。
まずは魚にあったphで様子をみて、繁殖行動が観察できない場合にはphを上下させて更に様子を見てください。
phを下げるには「テトラ PH/KHマイナス」、phを上げるには「テトラ PH/KHプラス」が有効です。
最後に:様子を見ながら変化を与える
特に繁殖の難しい魚種では、一定の手順により繁殖を促すことができません。
個体ごと、環境ごとの差があります。
そのためここで紹介した6つのポイントを守り、2~3週間様子を見て変化がない場合には以下のような点を変化させ、更に2~3週間様子を見るという流れを繰り返しましょう。
- 水温の上げ下げ
- phの上げ下げ
- 水槽内の水草や岩の追加/撤去
- エアレーションの追加/撤去
- 水流の調整(フィルターを変更したり、流量・向きを調整する)