丸ノコはシンプルな工具ですが使い方は奥深く、丸ノコ用の様々な治具の作り方がネットで公開されています。
しかし、丸ノコ用の治具は大きいことが多く、我が家のような狭い作業場やその他の事情であまり多く道具を持てないという方も多いでしょう。
そこでおすすめしたいのが、道具不要で直線切りする技術を身に着けることです。
これは決して難しいものではありません。
最初から治具やガイド製品に頼りきりだといつまでも覚えられませんが、少し練習すれば誰にでも身に着けることができる技術です。
丸ノコの基礎知識
丸ノコはモーターにチップソーと呼ばれる円形の刃がついただけのシンプルな工具です。
昔から姿を変えずに使われ続けています。
チップソーの例 |
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チップソーは見ての通り大きくそこそこ厚みのある金属板です。
そのためジグソーやその他の切断工具に比べて直線切りが容易です。
むしろ、曲げることが難しい工具です。
正しい使い方をすれば丸ノコは勝手に真っ直ぐ切り進めてくれます。
例えばプロの現場を覗けば、一部の状況を除けばスライド丸ノコや卓上丸ノコではなく丸ノコを使って直線切りが行われています。
合板のような薄板は直線から逸れやすいため、純正でも付属する下記のような「丸ノコ定規」と呼ばれる製品がありますが、これを除けば厚板や角材はフリーハンドで全く問題なく直線切りが可能です。
丸ノコ定規の例 |
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(合板など薄板を切断する際に直線から逸れやすいのは、丸ノコの特性というよりは合板がたわむことが原因です。やっぱり丸ノコ自体は直線切りがとってもしやすい工具なんです。)
丸ノコは安価かつ切断工具の代表のようなイメージを持たれているため、DIY初心者が手にしやすい最も危険な工具でもあります。
一般的な丸ノコは太い木ネジが埋まっていようとそのまま切り進みます。
一歩間違えて指などが巻き込まれれば簡単に指が切り落とされます。
ここで紹介する4つのポイントをしっかりと守ることで、正確な直線切りができるだけでなく安全な作業を行うことができます。
丸ノコで直線切りする3つのポイント
①抑える力8割・押し出す力2割・曲げる力0割
丸ノコを使う時、丸ノコを上から抑えつけ丸ノコ本体がぶれないようにします。
可能であれば両手で丸ノコ本体をしっかりと持つと良いでしょう。
丸ノコを使う時の力の8割もしくは9割は丸ノコ本体をしっかりとホールドするために使います。
丸ノコは切断力が高い工具です。
強く前へ押し出さなくとも軽い力で進みます。
そのため押し出す力は1割か2割もあれば十分です。
もし丸ノコの進みが悪い場合には刃が木材に挟み込まれている場合や、本体がブレて刃の向きが曲がっている場合などが考えられます。
一度丸ノコを停止して、切り出し位置から改めて切り始めてください。
間違っても前に進まない時に無理に押し出してはいけません。
また、丸ノコが目標としていた直線を逸れてきた時、それを戻そうと曲げる力を加えてはいけません。
丸ノコは基本的に曲がらない工具です。
曲がる原因は木材のたわみや本体のブレなどが考えられますが、いずれにせよ無理に戻そうとしてもうまく戻ることはありません。
一度丸ノコを停止して、切り出し位置から改めて切り始めてください。
これが丸ノコを使う際の最も基本的なポイントです。
とにかく本体のブレを防ぐためにしっかりと丸ノコをホールドし、軽く押し進めます。
進まなくなった時や逸れてきた時は1から切り直します。
この点を注意するだけで丸ノコの扱いが劇的に上達するでしょう。
②適したチップソーを使う
丸ノコの刃である「チップソー」には標準で付属するもの以外にもたくさんの選択肢があります。
基本的に外径と内径が合ったものを選択しますが、最も重要なのが「歯数」です。
その名の通りチップソーにある歯の数です。
選び方は非常にシンプルです。
厚いものや角材を切るときは歯数の少ないものを選びます。
ただし、標準付属のチップソーで十分な場合が多いため無理に買う必要はありません。
一方で薄いものをを切るときは歯数の多いものを選ぶと、曲がる原因となる板のたわみを抑えることができるため有効です。
丸ノコで合板をカットする機会が多い場合には歯数の多いチップソーの購入を検討すると良いでしょう。
参考までに歯数の多いチップソーとして評判が高い製品がこちらのチップソーです。
なお、合板など板材の切断においては丸ノコ定規を併用することをオススメします。
これは作業時に無暗に場所を取らないため狭い作業場でも難なく使えます。
また、ネット上でよく紹介される治具などと違って汎用性が高く一度慣れればサクサク切断することができます。
③切り始めに細心の注意を払う
丸ノコで切断する際に最も重要なのが「切り始め」です。
丸ノコの刃が一度木材に入ってしまえば、これまでも言ったように刃が曲がることはありません。
しかし、切り始めで曲がって刃が入ってしまうと取り返しがつきません。
構造上切り始めの位置をあわせるのは意外と難しいのですが、以下の2つのポイントを守ることでうまく切り始めることが出来ます。
1.刃と木材の接点を目視で確認する
一点目のポイントは刃と木材が触れ合う点をきちんと目視で確認することです。
ベース上の切り欠きだけでなく、覗き込むように接点を確認し、切り出し位置が線にしっかりと当たっているか確認します。
2.ベースの切り欠きと接点の2点を確認する
刃と木材が触れ合っている状態では、丸ノコは左右に自由に傾いてしまいます。
ベースの切り欠き、そして一点目で紹介した刃と木材の接点の2点をきちんと合わせることで、丸ノコは正確な角度を向いてくれます。
もしこの切り始めが苦手な方は、小さめの丸ノコガイドを使うと良いでしょう。
切り始めだけこうしたガイドをあてがうことで、正確な角度で切り始めることができます。
④作業台とクランプ
最後のポイントはしっかりとした作業台の上で作業すること。
そして可能であれば木材をしっかりとクランプすることです。
ここまで説明してきた通り、丸ノコで直線切りができない原因は「木のたわみ」と「丸ノコ本体のブレ」です。
木のたわみを抑えるには、木材をしっかりとした台の上に置き、クランプなどでしっかり固定する対策が有効です。
丸ノコ本体のブレを抑えるには、①で紹介した通り丸ノコをしっかりとホールドすることが重要です。
丸ノコをしっかりホールドするためには、結局木材をしっかりとした台にしっかりと固定することが肝要です。
まとめ
以上、丸ノコを使いこなすための4つのポイントを紹介しました。
丸ノコで直線切りができない原因は「木のたわみ」と「丸ノコ本体のブレ」です。
また、「丸ノコは曲げることができない工具」です。
この3点をよく理解して丸ノコを使うことで、丸ノコの扱い方は劇的に向上し、フリーハンドでもきれいな直線切りができるようになるでしょう。
アルミベースの方が精度が良いと言われますが、鉄ベースで直線切りできないのであればアルミベースでも直線切りできません。
直線切りのジグに頼るだけでなく、フリーハンドでもきれいなカットができるようになれば、無駄な道具が不要になるだけでなく作業時間も短縮できます。
丸ノコが苦手な方は是非実践・練習してみてください。