レイズドベッドとは、草花や野菜・果物を育てるための手法のひとつです。
一般家庭における家庭菜園に取り入れられることの多く、オシャレな見た目と高い実用性を兼ね備えています。
レイズドベッドは2つの英単語で構成されています。
レイズド(Raised)は「高く持ち上げられた」という意味です。
ベッド(Bed)は「土台」や「苗床」、つまり植物を植える場所を意味しています。
組み合わせることで、「高く持ち上げられた苗床」という意味になります。
実物をご覧になった方がわかりやすいですので、実物のレイズドベッドの写真を用意しました。
ご覧の通り、地面大きな木の枠が設置され、その中に土が満たされています。
これがレイズドベッドです。
レイズドベッドの定義と形状
レイズドベッドには大きく分けて2つの形状が存在します。
1つは地面に接しているレイズドベッドです。
地面とレイズドベッド内の土はつながっており、プランター植えと地植えの良いとこ取りをしたような構造になっています。
しかし、既製品のレイズドベッドのなかには、構造強度上の都合で底がフタをされているものもあります。
主に布製のレイズドベッドに多く、プランターとの違いが非常に曖昧です。
レイズドベッドに明確な定義は存在せず、こうした製品もレイズドベッドとして紹介・販売されることがあります。
もう1つは地面から完全に浮いているレイズドベッドです。
プランターに長い脚を生やしたような形状をしており、こちらもプランターとの違いが非常に曖昧です。
英語圏の情報によれば、こうした製品は「Raised Planter Box」や「Eleveted Planter Box」と呼ばれていることが多いものの、レイズドベッドの一種と考えられています。
レイズドベッドの効果と魅力
レイズドベッドの1番の魅力と言っても良いのがオシャレな外観です。
お庭に畝を作って野菜を育てると、非常に合理的な「畑」になってしまいます。オシャレなお庭とは対極に位置するような存在です。
しかし、レイズドベッドであれば素材を問わず野菜を植えるスペースを明確に区切ることができます。
素材によってはそれ自体が独特の魅力を発し、オシャレなお庭作りの一助になります。
こうしたオシャレな見た目以外にも多くの実用的なメリットが存在するのがレイズドベッドの魅力です。
- 地面を耕す必要がない
- 土壌改良の必要がない
- 質の低い培養土でも植物がよく育つ
- 排水性が良い
- 適度な保肥性や保水性を保つことができる
- マルチやトンネル、温室や支柱立て、つる性植物のアーチなど自由な家庭菜園が楽しめる
- お庭にデザインの一部として取り込むことができる
- 高さがあるため植物の管理がしやすい
- 高さ次第では腰を屈めずに作業が出来る
- 車いすの方でも園芸を楽しむことが出来る
レイズドベッドの素材
先ほどご覧いただいたレイズドベッドは木で作られていました。
木で作られたレイズドベッドはナチュラルな雰囲気が素敵ですが、レイズドベッドの本質は地面の上に培土の厚い層が存在するという点です。
つまり、枠を形作ることが出来れば素材は問いません。
以下に代表的なレイズドベッドの素材を解説します。
1.木
レイズドベッドの最も代表的な素材が「木」です。
自然の素材であるが故に多くのデメリットが存在するものの、それ以上のメリットが評価されレイズドベッドユーザーに強く支持されています。
木と一言に言っても、ホームセンターなどで手に入る加工済みの木材を使う場合もあれば、樹皮のついた丸太を組み合わせて使う場合もあります。
木のレイズドベッドのメリット
- 通気性があり植物の生育を促す効果がある
- 安価で入手性が良い
- 自由な大きさを手に入れることができる
- 自由に形に加工することができる
- オシャレな外観を手に入れることができる
- 有機物なので長期的に見ると分解され土壌改良に効果を発揮する
- 既製品を組み合わせて手軽に始めることができる
木のレイズドベッドのデメリット
- 風雨や水分に晒されることで腐食が進む
- 腐食した際にはメンテナンスが必要になる
- 曲線を描く形状は難しい
2.石
「石」もレイズドベッドの素材としてよく利用されます。
レンガのブロックを積み重ねて使ったり、セメントを使って自由な形を作ることもできます。
天然の石からは微量のミネラルが溶け出す場合がありますが、植物の生育にはほとんど影響しません。
石のレイズドベッドのメリット
- 曲線を含め自由な形を作ることが出来る
- 耐久性が高くメンテナンスをほとんど必要としない
- 高級感や重厚感がある
- オシャレな外観を手に入れることができる
石のレイズドベッドのデメリット
- 既製品が存在しないため製作の手間がかかる
- 素材の重量があるため製作時の運搬が大変
- 素材が高価で初期コストがかさむ
3.樹脂
建材から工業製品、雑貨まで幅広く利用される「樹脂」(プラスチック)もレイズドベッドの素材として利用されます。
板状の樹脂をレイズドベッドの形に固定する場合や、柔軟性ある樹脂のシートを円形に折り曲げ、重なった部分をネジ止めする方法などが存在します。
DIYで製作する場合には前出の木や石が選ばれることが多く、樹脂のレイズドベッドは既製品として利用されることが多いです。
日本国内では既製品の樹脂製レイズドベッドがほとんど流通しておらず、DIYで製作することになります。
DIYで製作する場合には、市販のアゼシート(アゼ板やアゼナミなど)が適しています。
既製品として、樹脂でできた杭が連結したような製品が存在しますが、レイズドベッドにおいて重要な高さに制約があり、強度も低いなどいくつかの難点が存在します。
樹脂のレイズドベッドのメリット
- 安価に手に入れることができる
- 非常に滑らかな曲線を描くことができる
- 耐久性が高くメンテナンスをほとんど必要としない
- 傷に強く傷から腐食が進むことがない
- 組み立てが簡単にできる
- 自由な大きさを形作りやすい
樹脂のレイズドベッドのデメリット
- 日本国内では既製品がほとんど流通していない
- 黒一色の製品が多く、見た目が武骨になってしまう
4.金属
既製品のレイズドベッドで主流と言えるのが「金属」のレイズドベッドです。
シート状の金属を使って自作することも出来ますが、錆対策の表面仕上げが難しいです。
あえて錆を出して錆色をお庭に取り入れたいという場合を除いて、表面仕上げが済んだ既製品(ガルバリウム鋼板など)を選択することをおすすめします。
樹脂同様に日本国内ではほとんど流通していません。
金属のレイズドベッドのメリット
- 様々な形状や寸法の製品が存在する
- 耐久性が高くメンテナンスをほとんど必要としない
- 曲がりにくい加工が施してあり強度がある
- 金属特有の雰囲気がある
- 塗装に適しておりペンキで塗装して自由な色を楽しめる
金属のレイズドベッドのデメリット
- 日本国内では既製品がほとんど流通していない
- スコップやクワなどで傷が付くと、そこから錆が発生してしまう
5.布
最近見かけることが増えてきた「布」で出来たプランターがあるように、布製のレイズドベッドも存在します。
布製のプランターは高い通気性から植物の生育に優れた効果を発揮しますが、布製のレイズドベッドにも同様の効果が見込めます。
布のレイズドベッドのメリット
- 非常に安価に手に入れることができる
- 非常に軽量で持ち運びがしやすい
- 高い通気性があり植物の生育を促す効果がある
布のレイズドベッドのデメリット
- あまり大きなサイズは存在しない
- 素材自体に強度がないため扱いづらい
- スコップやクワなどで穴が開く
- 素材の劣化が早く耐久性が低い