2メートル四方弱の作業場で小物から家具まで作る私が「狭い作業場」でのDIYのコツやポイントを紹介します。
2メートル四方弱という狭さでDIYを行うのは私を置いてほかにいないと思います。
今回は狭い作業部屋で作業する人にオススメしたい工具と、逆にやめておいた方が良い工具をそれぞれ紹介します。
▼ちなみに作業場は2メートル四方弱分のスペースがある自作の防音室です。
はじめに - 狭小DIYで検討されがちな「小型工具」について
まず始めに狭い作業場におけるDIYをしている人が必ず検討する「小型工具」について言及しておきたいと思います。
ここで言う「小型工具」とは同じ種類の工具の中でも小型なもの、特に据え置き型の工具において一般的な寸法より小型な製品を指しています。
例えば私が実際に使っている工具をあげてみると、「小型バンドソー」として販売されている高儀のRBS-195Aが挙げられます。
高儀 小型バンドソー RBS-195A |
---|
製品ページを開く |
バンドソーのサイズは一般的にホイール径で表され、小さくても10インチ、一般的なのは14インチ程度です。
その中でこのRBS-195Aは8インチという小型サイズで寸法自体も非常にコンパクトです。
こうした「小型工具」はどうしても中途半端になりがちです。
なぜなら小型化するために、機械本来の機能性を損なっているからです。
それに加えて一般的に据え置きタイプの「小型工具」は低価格かつDIY用として販売されることが多いです。
DIY用として販売される製品はメーカー自身が精度や耐久性、連続運転性能などについて明確に劣っていると認めている証拠です。
もしあなたが「小型工具」を購入する場合には、普通サイズの工具に比べて何が劣っているのかをよく確認しなければなりません。
例えばこの高儀のバンドソーRBS-195Aの場合には小さいが故に以下のような問題があります。
- ふところ寸法が約20cmしかない
- 厚さ90mm弱までしか切れない
- テーブルが平面ではない
- インサートが平面ではない
- ブレード幅が狭く直線切りが苦手
- 付属治具の精度が悪い
こうした問題点を製品レビューやレビュー動画、記事などを参考によく吟味した上で選択する必要があります。
それでは実際に作業場が狭い人向けのオススメの工具とオススメしない工具を紹介していきます。
オススメの工具
①ボール盤
第一にオススメする工具は「ボール盤」です。
ボール盤は正確に垂直な穴あけをするための工具であり、ある程度本格的にDIYを行うためには必須と言っても過言ではない工具です。
DIYを始めたばかりでドリルガイドで満足している方であっても、いずれ欲しくなり、必要になって買うことになるでしょう。
ただしボール盤にはひとつ大きな落とし穴があります。
例えば私自身も使っているSK-11のボール盤「SDP-300V」は、一般的なボール盤と比べると小型な部類です。
しかし、ボール盤はその構造ゆえに奥行きがある工具です。
狭い作業場では奥行のある工具はどうしても邪魔になりがちです。
うまく設置できる場所があればともかく、多くの場合には場所を無駄に取る結果になります。
とはいえある程度以上のレベルのDIYには必須の工具ということで、「一応」オススメに含めてあります。
②バンドソー
バンドソーは数ある切断工具のなかでも汎用性が高い工具です。
直線切り、角度切り、曲線切りなどそつなくこなすことができる万能切断工具です。
もちろん直線切りなら丸ノコ系、角度切りならスライド丸ノコ、曲線切りなら糸のこ盤などそれぞれ特化した工具が存在します。
また、バンドソーは小型なものであっても先述した高儀のRBS-195Aのようにある程度場所を取ります。
とはいえ、逆に考えればあらゆる切断工具の代わりをバンドソーが担ってくれるという言い方もできます。
私は実際に2メートル四方弱しかない作業場にこのバンドソーを設置しています。
直線・角度・曲線切りのいずれにも対応できる反面精度は専用工具に劣る
という微妙なポジション故に最初は使いどころに迷うことも多かったのですが、最終的に非常に満足しています。
もしこの説明を聞いて興味を持たれた方は是非検討してみてください。
もし場所が許すのであれば14インチクラスのそこそこのバンドソーを狭い作業場にデンと据えてやるのも一つの方法だと思います。
バンドソーは日本国内では流通が少なく情報も少ないです。
選び方は以下の記事で解説しているので気になる方はチェックしてみてください。
【バンドソーの選び方】価格問わずバンドソーは静かな切断工具ではありません。 - ドリリウム
③丸ノコ
丸ノコは最も基本的な切断工具のひとつです。
価格も1万円以下で日立などの有名メーカー製の製品が揃っています。
使い方さえ覚えてしまえば、大きくてかさばる治具やガイドを使わずに綺麗な直線切りが可能です。
合板や角材を問わずDIYの基本となる直線切りをほぼ完ぺきにこなしてくれる丸ノコは絶対におススメできる工具です。
また、刃の直径が165mmのコンパクトな丸ノコであっても60mm弱というDIYで扱うには十分な切込み深さを実現しています。
こちらが私が実際に使用している日立のDIYモデルの丸ノコです。
最初から治具やガイドを使うとなかなか覚えられない使い方を以下の記事で解説しています。
少し練習すれば簡単かつ安全にフリーハンドで直線切りが可能になります。
【道具不要】丸ノコで綺麗な直線切りを覚えよう! - ドリリウム
④サンダー類
DIYで欠かせない作業工程が「やすりがけ」です。
このやすりがけのための工具はベルトサンダー、ディスクサンダー、スピンドルサンダー、オービタルサンダー、ランダムアクションサンダーなど様々な種類があります。
DIYを続けているとどれもこれも欲しくなりますが、取捨選択が重要です。
特に汎用性が高くオススメできるのが手持ち可能なベルトサンダーです。
手持ちして大きな机の天板などを磨いたり、作業台に固定して小物の平面研磨に使ったりできます。
よくDIYで使われるオービタルサンダーやランダムアクションサンダーに比べて切削力が非常に高く、ガシガシ削っていけます。
こちらは私が実際に使用しているタックライフ製のベルトサンダーで、価格はわずか6,999円(2019年11月1日時点)と格安です。
とりあえずベルトサンダーさえ持っていれば、あとは仕上げ磨き用のオービタルサンダーかランダムアクションサンダーを持っていればそれだけで十分です。
ディスクサンダーやスピンドルサンダーはどうしても必要になってからで構いません。
(スピンドルサンダーはボール盤で代用することもできます)
⑤ジグソー
最後にオススメするのがジグソーです。
一般的に曲線切りのための工具と思われがちですが、定規や角材などをあてがって使うと予想以上に綺麗な直線切りも可能です。
穴を開けておけばそこから切り始められ、直線切りに曲線切りに自由自在ということで1つは持っていても良い工具の一つと言えます。
DIYで色々な作品を作っていると、主役にはなれないもののちょくちょくと出番が出てきます。
いずれのジグソーも大きさはそれほど変わりません。
機能面でも構造がシンプルなのであまり差がないのですが、1万円程度の「そこそこ」のものを選んだ方が騒音や振動が少なく使いやすいです。
こちらが実際に私が使用しているジグソー(の後継機種)です。
オススメしない工具
①スライド丸ノコ
最もオススメしない工具が「スライド丸ノコ」です。
海外ではMiter Sawと呼ばれ、その名の通り正確な角度切りをするための工具です。
卓上丸ノコのように使うこともできるため直線切りも得意としており、スライドのお陰で30cm程度はカット可能なのでちょっとした板類も切断可能です。
とにかく正確・精密な切断を追求した工具と言えます。
大変すばらしい工具ではありますが、スライド丸ノコはその形状ゆえに奥行きがあります。
一般的な小振りなものでも70cm程度の奥行きがあり、多くの作業場において邪魔になります。
また、粉塵が多く舞うため対策も行いたいところですが、狭い作業場ではスライド丸ノコ+粉塵対策をするほどの場所がないことが多いでしょう。
私のようにスライド丸ノコを必要な時だけ持ち出す使い方をしているケースではなおのこと粉塵対策は困難です。
そのためスライド丸ノコを使う時は防塵マスク・メガネをした上で全身木くずまみれになりながら切断しています。
狭い作業場では粉塵による健康被害も馬鹿になりません。
私の場合にはすぐに咳が出始めるのですが、塵肺と呼ばれる呼吸器の諸症状に悩まされ、気付いたころには重大な影響を及ぼしていることもあります。
奥行と粉塵という狭い作業場の大敵が揃ったスライド丸のこは絶対にオススメしない工具です。
しかし、その精密な直線切りや角度切りは捨てがたく、比較的小型・軽量なものを私のように必要な時だけ持ち出して使う方法はアリだと考えています。
私が使用しているのはタックライフのスライド丸ノコで、2万円を切る恐ろしく低価格なスライド丸ノコです。
調整をすれば精度は問題なく、重量もプラスチック部品が多いせいか10kgと軽量で、たまに使う身には嬉しい低価格が魅力です。
②テーブルソー
テーブルソーにはいくつかの分類があり、大小さまざまな製品が存在します。
日本国内で家庭用の100V電源で使用できる製品は限られていますが、テーブルソーが本領を発揮するのは広い作業部屋と作業台があってこそです。
特にテーブルソーが得意とするものの一つが大きな合板の切断ですが、そもそも狭い作業場では大きな合板を取り廻すことは困難です。
手で抱えられる程度の合板であれば丸ノコを使った方が無難です。
また、テーブルに沿って切断するテーブルソーにおいては切断前の平面出しが重要で、自動カンナ盤と手押しカンナ盤による平面出しができない場合には使い方を限定されます。
自動カンナ盤も手押しカンナ盤も大型の工具で、集塵も含めれば狭い作業場では現実的ではありません。
更に多種多様な治具を使って様々なカットができるテーブルソーですが、治具はいずれも大型で狭い作業場では置き場に悩むことになるでしょう。
③自動カンナ盤・手押しカンナ盤・ドラムサンダー
木の平面出しで使用される手押しカンナ盤、その平面を元に平行な面を作る自動カンナ盤やドラムサンダーはいずれも大型な上、集塵の問題があります。
こうした大型の工具に接続できる太いホース径の集塵機は場所を取り、更に太いホース自体も大きく場所を取ります。
とにかく場所を食うこの手の工具は狭い作業場では諦めた方が良いでしょう。
④集塵機(特に本格的なもの)
集塵機はDIYにおいて欠かせないもののひとつです。
しかしある程度本格的な集塵機になると、本体自体が大型な上にホースも太くなります。
太いホースは取り回しが悪く、基本的に据え置き工具に接続して切り替えながら使うものです。
いずれの特性も狭い作業場には全く合いません。
集塵機は小型なものを選択するか、家庭用の掃除機などを改造したサイクロン集塵機を自作することをオススメします。
実際に私は格安の掃除機を使って限界まで小さなサイクロン集塵機を自作してしようしています。
【超小型】掃除機利用のサイクロン集塵機はここまで小型化できる! - ドリリウム
取捨選択のポイント
一連の説明の中でも述べているように、狭い作業部屋で最も厄介なのが「奥行」です。
とにかく奥行のある工具を選ぶと後悔することになります。
ボール盤のようにDIYを一歩上の段階へ引き上げるために必須の工具を除けば奥行のある工具は導入すると必ず後悔することになるでしょう。
次点で問題になるのが「粉塵」です。
DIYにおける粉塵対策は甘く見られがちですが、健康への影響は予想以上に大きいです。
私は一時期咳が止まらなくなり、それ以降は粉塵の出る作業を行うとすぐに咳がでるようになってしまいました。
趣味でDIYを楽しむ分には、健康診断にも塵肺の検査が含まれません。
くれぐれもDIYで粉塵の出る作業を行う際には防塵マスクを使用してください。
いわゆる「ダストマスク」などに代表される性能の劣る防塵マスクでもないよりはあった方がマシです。
「防塵マスク」と銘打って売られているものはやや高額ですが、分厚く密着性も高く納得の品質です。
使い捨てタイプと取り換え式があり、いずれでも構いません。
私は作業場にエアコンがなく、夏場は汗をかくため使い捨てタイプを使用しています。
使い捨てタイプ | 取り換えタイプ |
---|---|