バイクの二人乗り「タンデム」には危険がいっぱいです。
250ccという最小クラスのバイクで、夫婦でタンデムをし続けてわかったこと・学んだことをまとめておきたいと思います。
なお、バイクはSUZUKI ST250という水冷単気筒の性能も価格も低いバイクです。
パワートレインに関してはインジェクターとセルモーターを「とりあえず」付けただけの昔ながらの仕様となっています。
スポーツタイプに比べればタンデムシートが広く乗りやすいと言える反面で、低価格故のブレーキやサスペンション性能の低さ、そして19馬力という出力の低さがネックになります。
更に言えば、私は身長180cm、妻も170cm以上あるため重量的にも厳しいものがあります。
こんな条件のもと、タンデムを繰り返して色々な場所へ出かけてわかったことを列挙していきます。
250ccでタンデムして気付いたこと
①ストップ&ゴーでバランス取りが大変
後ろに1人分の体重が乗っているうえ、重心も高めです。
普段バイクに乗っている感覚からすると、バランスがとりにくいです。
250ccのバイクは軽量であり、多少傾けても片足が地面についていれば簡単に持ち直すことができます。
そのため普段はバイクの角度(バランスとり)がガサツになりがちです。
しかし、タンデムをするとなると話は別です。
少しでも角度が付きすぎれば簡単に倒れてしまいます。
実際に倒れたことはないですが、足はいつも以上にグッと踏ん張る必要がある上、気を使います。
そのため走行中は問題ないですが、ストップ&ゴーを繰り替えす市街地の走行では肉体的な疲労というより気疲れしてしまいます。
②ブレーキを効かない+効かせられない
250ccのバイクの車重はライダーを含めても200kg程度です。
ここに一般的な成人(仮に60kgとする)を乗せるとなると30%近く重量が増すわけです。
そうするとブレーキ性能とタイヤ性能の限界点がはっきりと落ちます。
ガタ落ちです。
これで公道走っていいの?っていうレベルで落ちます。
車間をしっかりと取って、遠くの信号にも気を使って、停まるときには早めにブレーキを踏み始めないといけません。
もちろんブレーキをしっかりとかければ早く停まることもできます。
しかし、後ろに重いものを高い重心で載せていることを考えるとバランスが取り切れなくなる恐れがあります。
そもそも「急」のつく動作をすれば、運転しているライダー以上に後ろに乗る相手は大きく揺すぶられ、不快に感じます。
これも①と同様に結構気疲れします。
③パワー(馬力・トルク)は問題ない
250ccでタンデムするとパワー不足なんじゃないの?と私も最初は思っていました。
しかし、実際にやってみるとそんなことはありません。
もちろん一人で乗っている時に比べると遅くなりますが、そもそもバイクというのは普通の車と比べれば高い加速性能を持っています。
660ccで1000kgの車を走らせる軽自動車が街中にはウジャウジャいます。
250ccで200kgのバイクなら全く加速が問題になることはありません。
急加速やスポーツ走行をするには無理があるでしょうが、そもそもそんな同乗者を不快かつ危険にさらすようなことはすべきではありません。
④タイヤとサスペンション性能の限界・コーナリングが危うい
人一人分重くなるということは、先述したブレーキ同様にタイヤとサスペンション性能の限界も下がります。
タンデムと言っても一度走り出してしまえばいつもと変わりません。
そのままいつもの感覚でコーナーに入るとヒヤリとするはずです。
なぜならバイクを倒し込んだ時の挙動がいつも以上に不安定で、タイヤのグリップの限界が近いことが手に取るようにわかるからです。
タンデム走行時にコーナーを曲がるときは、いつも以上にしっかりと減速してからコーナーに入るようにしなければなりません。
結論:とにかく疲れる(精神的に)
250ccによるタンデム走行は、とにかく気疲れします。
これはより大きな排気量でも同じことかもしれませんし、もしかすると軽減されるかもしれません。
停車の度にバランス取りに集中力を割かれ、
走行中は周囲の様子と前車や遠くの信号に気を配り、
ブレーキはいつもより早く、
コーナーはいつもより減速して、
同乗者を不快にさせないように気を配って
そうして疲れてしまいます。
バイクは法を犯さない範囲でも十分に走ることを楽しめる乗り物です。
タンデムをすると、その楽しさをほとんど丸っきり失うことになります。
250ccでタンデムするときのポイント
①市街地を避ける
ここまで説明したように、タンデムで厄介なのが
- 停車中
- ブレーキング
- コーナー
以上3点です。
信号や交通量の多い市街地はこうした厄介なことが頻発します。
タンデムを楽しむためにも、特にタンデムに不慣れな人こそ市街地を避けた経路選択を心掛けたいです。
②いつも以上に周囲の様子を気にかける
想定が困難な不意の急制動や急旋回を避けるためにも、いつも以上に周囲に気を使う必要があります。
特に前方はいつもの2~3倍は遠くの様子を確認するつもりで気を配りましょう。
これはタンデムをすることでバイクの限界性能が落ちる点、というよりは同乗者に不快感や恐怖感を与えないための気配りです。
心を広くもって優しい運転を心掛けたいです。
③サスペンションと空気圧の調整
バイクはほとんどの車種が、最低でもサスペンションのなんらかの調整機構が備わります。
安くて低機能な私の愛車、ST250であってもプリロード調整が可能です。
タンデムをする際には後輪にかかる荷重が大きく変化します。
事前に最適な設定を見つけるか、いつもより高い荷重を想定した設定にしておくと良いでしょう。
また、タイヤの空気圧も重要です。
バイクは車以上に空気圧に敏感です。
少しでも空気圧が落ちれば大半のライダーはその違いに気が付きます。
更にタンデムをするとなるとその影響はグッと増します。
バイクにはタンデム走行時に推奨される空気圧設定が記載されているはずです。
記載に従って空気圧を調整しておくと良いでしょう。
手軽に空気圧が調整できるコードレスタイプのコンプレッサーがあるととっても便利です。
こちらは私が実際に使用している製品です。