無垢のテーブル(天板)の反り止めの作り方
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無垢のテーブルなど大きな板を扱う際に欠かせないのが「反り止め」です。
プロの製作するオーダーメイドのテーブルを見ていても、それぞれ反り止めの方法は異なり面白いものがあります。
そんな中で素人が簡単に作れる反り止めの作り方を紹介します。
特に素人が苦手とするであろう「ノミ」を使った作業が必要ない方法です。
反り止めの仕組みと必要性
反り止めの仕組みは大きく分けて2つに分かれます。
反りを殺す方法と、ある程度反りを許容する方法です。
一般的に後者が推奨されることが多いのですが、前者の反りを殺す方法が採用されている例も散見されるところが面白いです。
反りを殺すと言っても、厳密に言えば完璧に反りを殺すことはできませんから、結局のところどこまで反りを許容するかという「程度」の問題なのでどちらでも大きな問題はないんだと思います。
さて、無垢の板はご存じの通り横方向(木が伸びる方向に対して直角に交わる線)に反りが生じます。
原因としては木が含む水分量の変化です。
一般的に十分に乾燥された木材の含む水分量は10%~20%程度とされており、これは同じ1枚の板でも木の部位によって大きく変化します。
これに対して空気中の湿度は(日本の場合)平均して60%以上はあるため木は水分をどんどん吸い込むことになります。
その一方で、暖房器具などを使った場合には湿度が部分的に急激に下がります。
こうした湿度の変化により、木は生きているようにぐねぐねと曲がるわけです。
この反り自体は自然なことで決して悪いことではありません。
反りを気にしないというのであれば反り止めをする必要はそもそもありません。
それでも反り止めをする理由は、やはりテーブルが曲がっていると見栄えが悪いとか、構造的に無理が生じるとか、傾いていて使い勝手が悪いとか、そうした理由です。
そこで、反りを殺す、あるいは一定以上の反りを止める処置を施すわけです。
余談?反り止めって実は超簡単
さて、ここに1枚の大きな無垢の板があります。
ここに反り止めをしてみましょう。
このように木を1本あてがって木ネジで打ち込みます。
実は反り止めってこれでも十分機能するんです。
この方法では反りを殺す方法になりますが、実際にはネジ穴には隙間がありますし、木自体も柔軟性があるためごく少量の反りは許容する構造となります。
とはいえこれではあんまりなのでもう少し手を加えてみましょう。
簡単な反り止めの作り方
さて、早速反り止めの作り方を紹介します。
①材料の選定
まずは2~3本の角材を用意します。ここでは朴の木を例として使用します。
これは一般的に天板より硬い木材が使われますが、反り止めの機能を考えると必ずしも硬い木材でなくとも構いません。
最も入手性の良い角材としては2x2やホワイトウッドの角材となります。
これらは柔らかい木ですが、反り止めとしても十分機能するので無理に硬い木を買う必要はありません。(硬い木はホームセンターで取り扱いが少ないうえ基本的に高いです)
ちなみに大きめのホームセンターなどで「反り止め」として売られている商品はパイン製が多く、一般的にパインは柔らかい木とされています。
※反り止めは木で作られることが多いですが、金属の扱いに慣れている方であれば金属板やバーを使っても構いません。
②デザイン
次にデザインを決めます。
一般的なデザインとしては両肩を切り落としたこのような山型の形状です。
基本的に棒の形を保っていればどのような形でも構いません。
ただ、この山型のデザインは非常によく考えられた形状です。
テーブルを利用する人にとって邪魔になる角をなだらかに切り落としており、使い勝手の面ではこれ以上の形状はないかもしれません。
③穴あけ
最後に天板に固定するための穴を開けます。
一般的な方法はここで長穴を開けます。
しかし、長穴加工は道具や技術のない素人には難しいものです。
そこでオススメなのがネジより1周り大きい穴を開ける方法です。
ネジより1周り大きい穴を開けることで、木の反りに対して余裕が生まれ反りをある程度許容することが出来ます。
考え方は長穴と同じです。
例えば下図のようなM5のトラスネジを使って天板と反り止めを固定する場合、M5のネジの頭の幅は約10mm程度ありますから9mmほどの穴を開けると言うわけです。
M5のネジに対して9mmの穴を開ければ4mmの余裕が生まれます。
もしワッシャーを使うのであれば、それ以上の大きな穴を開けることも可能です。
ただし、反りを許容する量としては4mmもあれば十分です。
無理にワッシャーを使わなくても構いません。
これならドリル(できればボール盤)さえあれば誰でも簡単に反り止めを作ることができます。
ワッシャーやトラスねじの代わりに以下のようなネジ隠し(専用の角度付きワッシャー付き)と普通の木ネジの組み合わせでもOKです。
固定する個所は長さにもよりますが2~3か所が一般的です。
ここでは2か所に穴を開けています。
もしネジの頭を隠したいのであれば、更に一回り大きな穴を開けてネジの頭を隠す方法が有効です。
幕板があれば反り止め不要
ちなみに幕板のあるダイニングテーブルなどを作るのであれば、わざわざ反り止めを作る必要はありません。
幕板にここまで説明した反り止めの作り方と同じように大きめの穴や長穴を開けてねじ止めすればOKです。
また、幕板を使う場合には以下のような専用の長穴加工済みの金具も販売されています。