地方に転居して早半年と少し。「地方、特に海の近くなんてきっとご飯が美味しいんだろう」そんな風に私自身、転居前は期待していました。しかし、そんなことはないんです。
勝手にがっかりするのは失礼ですが、想像とは違った点がいくつかあります。(でも、そもそも移住を勧める地方の職員が食べ物の美味しさをアピールしているんだから、がっかりするのは失礼ではないかもしれません)
なお、ここでは都会=東京、地方=私が移り住んだ高知を示しています。
素材について
地元の新鮮な魚が出回らない
高知と言うとカツオの一本釣り、カツオのたたきが有名です。
しかし、実際にはカツオの漁獲量でも、一本釣りに限定した漁獲量でも高知県が1位というわけではなく、トップ3にすら入っていません。地元のスーパーや魚屋さんに行くと売られているかと思いきや、そんなことはありません。
スーパーに並ぶカツオは大抵は静岡県産のものですし、その他の魚も他県産や外国産が多いです。限られた市場に行けば地元の魚が手に入りますが、手軽に近所で新鮮な地元の魚を手に入れることはできません。
また、大きな市場を除けばそもそもお店は少なく、やっと見つけた鮮魚店でもラインナップは限られており、お店によってはほとんど魚がない、数種類しかないようなことも珍しくありません。
新鮮な野菜が出回らない
田舎なんだから野菜は地のものがあるだろうと思われそうです。
その通りで、地のものがあります。しかし、やはりスーパーなどではあまり出回らず、本当に地のものが欲しければ直売所を頼ることになります。直売所は規模が大小あります。大きなところは比較的良い野菜が安く手に入りますが、ラインナップは不安定で、朝早くいかなくては売り切れてしまうこともあります。
小さな個人規模の直売所は、腐りかけの野菜や果物も平気で売られており、賭けに近いものがあります。
素材が手に入らない
また、チェーン店のスーパーやコンビニであれば、取り揃えている野菜や果物、その他の食材については都会と同程度のラインナップとクオリティがあると思われている方もいるかもしれません。しかし、ここが違います。一番困るポイントかもしれません。
スーパーに行っても、野菜やお肉、魚のラインナップがどうにも不安定で少ないのです。都会では常に安定的に一通り必要な食材は揃っていましたが、地方では「スーパーに行けば大体の食材は揃う」という考えは捨てた方が良いでしょう。
イオン系列の大きい小奇麗なスーパーなども意外と点在するのですが、そうしたスーパーでも同じ状況です。
また、都会ではスーパーでその日にとれた新鮮なおいしい野菜がずらりと並んでいるものですが、地方では流通の問題か新鮮ではない野菜が並ぶことも間々あります。
飲食店について
地方の飲食店の9割はサイゼリア未満、7割はガスト未満
地方では残念ながらチェーン店のファミレスやファストフード店が限られています。市街地を離れるとほぼないと言って良いでしょう。
代わりに何があるかというと、個人経営のファミレスやカフェ、居酒屋等の飲食店です。
こうした飲食店を半年以上食べ歩いていますが、はっきり言って質が低いです。ピラフと言う名のチャーハンが出てくるお店があります。自慢のケーキがゴムのようなお店があります。雑誌に掲載されているようなお店も軒並み外れが多いです。地元の人にオススメされたうどん屋さん、朝並ばないとすぐ売り切れる評判の和菓子屋さん。そうした地元で評判のお店も、おしなべてレベルが低いです。都会ではなんの話題にもならないような、平均点前後の味なのです。大袈裟ではなく、本当に地元の人オススメのお店がそのレベルばかりで驚いたものです。逆にその人たちが都会へ行ったり、あるいは数少ないチェーン店に行った時にどう感じているのか不思議でなりません。
全席喫煙
また、こうした個人経営のファミレスやカフェは全席喫煙が当たり前です。
喫煙席があるだけで避けてしまう人も多いでしょうが、分煙できていればマシな部類です。転居して間もなく気づいたのですが、地方では喫煙率が妙に高い気がします。若い人でも喫煙者が多い印象を受けます。
まとめ
他にも色々と思うところがあるのですが、最低限の事実だけ5点言及してみました。
とにかく素材に関しては流通の問題(多分)のため、都会の方が新鮮でおいしいものが安定して手に入ります。これは地方で普通に暮らすためには重要なポイントです。また、競争が働かないため(多分)飲食店の質はおそろしく低いです。高知ではカツオのたたきが有名です。それなりの金額のお店にも行きました。良いところもあるのですが、おそらく同じ金額を都会で出せばもっとおいしいものが食べられるだろうなとはっきりわかってしまいます。
また、都会のレベルで考えてもおいしいお店も存在します。しかし、それは本当に限られた1割にも満たないお店なのです。
都会、というか東京の周辺には美味しい野菜が採れる場所や、美味しい魚が取れる場所がたくさんあります。そうした素材が大量にその日のうちに東京に流れ込みます。飲食店は大量にあり、質で負ければすぐに追いやられてしまいます。おそらく高知のカツオも、大半は地元で消費されずに需要のある都会に送られているのではないでしょうか。
昔は「田舎のご飯が美味しい」と言えたのかもしれません。
しかし、都会への一極化が進んだ結果、今は「田舎は美味しい食材の産地」でしかなくなってしまっているのではないでしょうか。
田舎で美味しいご飯を期待するのであれば、そこで採れたものを新鮮なうちに食べられる場所を探すしかないでしょう。限られた観光地でもなければそんな場所はほとんど存在しないのが難点ですが。