レイズドベッドの作り方
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レイズドベッドとは、草花や野菜・果物を育てるための手法のひとつです。
一般家庭における家庭菜園に取り入れられることの多く、オシャレな見た目と高い実用性を兼ね備えています。
本記事を執筆している2021年時点で、日本国内ではレイズドベッドの既製品はほとんど流通していません。特に本格的な使用に耐えうる耐久性や強度を持った製品はほぼ存在しません。
そのため、安価で魅力的な見た目を持ち、なおかつ自由な寸法で作ることができる自作(DIY)の方法を紹介します。
レイズドベッドの素材選定
レイズドベッドの素材は主に以下の5種類が使用されます。
- 木
- 石
- 樹脂
- 金属
- 布
その中で、素材の入手性が良くDIYにも適しているのが「木」「石」「樹脂」の3種類です。
「木」は、安価で加工性が良く見た目の風合いも良いためレイズドベッドに最適な素材です。多くのレイズドベッドユーザーが木でレイズドベッドを製作しています。
木の腐食や劣化を心配される方も多いです。
しかし、適切な厚みの木材を使用することで、対候性の低い木材を無塗装で使用しても5~10年。対候性の高い木材や防腐剤を塗布した場合には10年以上の耐久性を誇ります。
また、木材が風雨に晒されて経年劣化することで変化する見た目も魅力のひとつと言えます。(防腐剤を定期的に塗りなおすことで劣化を遅らせることができますが、中に土を詰めるレイズドベッドでは現実的ではありません。)
「石」は、大きく分けて2通りの使い方があります。
ひとつはレンガなどのブロック状の石材を積み上げてレイズドベッドを作る方法。もうひとつは、セメントを利用した方法があります。石のレイズドベッドは重厚感や高級感があり、魅力的ではあるものの安価で手軽とは言えません。
「樹脂」は、レイズドベッド用の樹脂シートやアゼ板などを使用しますが、見た目がオシャレとは言えない点が難点です。
このため、今回はコストパフォーマンスに優れ見た目もオシャレな「木」を使用したレイズドベッドの製作方法を解説します。
レイズドベッドの寸法
木のレイズドベッドを製作する場合には「木取り」を考えなければなりません。
「木取り」とは、素材となる木材からどのように目的の大きさの木材を切り出すか決めることです。
例えば、2000mm×1000mm(2m×1m)の木材があったと仮定します。
そこから800mm×1000mmの木材を3枚切り出すには、2000mm×1000mm(2m×1m)の木材が2枚必要です。
この時、下図でグレーで示した部分の木材は無駄になってしまいます。
こうした無駄を出来るだけ減らし、素材の数を少なく済ませるために頭を悩ませることを「木取り」と言うわけです。
一般的な木材の寸法
ここで、木取りを考えるために市販の木材の寸法を知る必要があります。
先ほど2000mm×1000mmの木材を例に示しましたが、そのような大きさの木材は市販されていません。
板の場合には1820mm×910mmが最も基本的な寸法です。これを半分にカットした910mm×910mmや、それを更に半分にした木材などがよく販売されています。
いずれも合板と呼ばれる木材を貼り合わせたり押し固めた素材です。
レイズドベッドには、強度面から板の木材は使用しないため詳しい説明は割愛します。
次に、レイズドベッドの主要な素材となる角材やツーバイ材を紹介します。
レイズドベッドは中に大量の土を入れるため強度が求められます。そのため板ではなく角材で構成する方法が一般的です。十分な強度を持った厚い板材も存在しますが、非常に高価でコストパフォーマンスが悪いです。
角材は杉(すぎ)や桧(ひのき)が多く、75mm角や90mm角の角材が販売されています。長さは1m、2m、3mなどメートル単位です。
一方で、ツーバイ材はSPFと呼ばれる針葉樹(杉、松、樅)を貼り合わせた木材です。ホームセンターなどでの取り扱いも多く、DIYで多く使われる木材です。(SPF以外のツーバイ材もありますが、SPFが最も多いです)
「2x4」のように表記し、「ツーバイフォー」と読みます。
2x6(ツーバイシックス)や2x8(ツーバイエイト)、2x10(ツーバイテン)も存在しますが、流通量が圧倒的に多い2x4が最も安価でコストパフォーマンスに優れます。
2x4の場合は厚さが38mm、幅が89mmです。
中途半端な数字の理由は海外の規格だからです。2x6なら厚さ38mm幅140mm、2x8なら厚さ38mm幅184mmです。
コストパフォーマンスを考えた場合、2x4以外は考慮する必要はありません。
ツーバイ材の長さは910mm、1820mm、2440mmなどバリエーションがありますが、最も安価なのは流通量が多い1820mmです。店舗によっては6フィートと表記している場合もあります。
これ以外にも、薄いワンバイ材や厚いフォーバイ材などが存在します。(フォーバイ材は国内ではほぼ流通しない)
コストパフォーマンスに優れた寸法
さて、木取りや木材についてあれこれを説明しましたが、ここで最もコストパフォーマンスに優れた木材の選定と木取りの方法を紹介します。
形状はどのようなお庭にも適している長方形とし、最も安価な木材である長さ1820mmの2x4を効率良く使用しています。
長辺には長さ1820mmの2x4をそのまま使用し、短辺には1820mmを半分にカットした910mmの2x4を使用します。
また、角を補強するために90mmの角材を角の内側に入れています。
これを複数段、好みの高さに合わせて積み上げます。
画像では4段積み重ねているため、高さが356mmとなります。
レイズドベッドの高さは300mm~400mm程度が一般的です。レイズドベッドのメリットが発揮され、圧迫感もなく、作業性も良いちょうど良い高さです。
背の高くなるトマトを植えても目線の高さ程度で止まり、根菜類も育てることができる300mm~400mmという高さは広くおすすめできる高さです。
その他の寸法
1820mm×910mm(※)のレイズドベッドが最もコストパフォーマンスに優れると説明しました。
しかし、例えばその半分の910mm×910mmの正方形や1820mm×1820mmの正方形も同様にコストパフォーマンスに優れます。ただし、1000mmを超える正方形を作ると中央付近に手が届かなくなる可能性があるので、正方形を作る場合には910mm×910mmまでにした方が良いでしょう。
もっと長い長方形を作りたい場合には1820mmの2x4材を横に並べて3640mmにしても構いませんが、長辺が長くなると土の重さがかかって膨らんでしまいます。
そのため、長辺が2000mmを超えるような長い長方形を作る場合には中央に補強を入れると良いでしょう。
また、最初に紹介した1820mm×910mmの長方形のレイズドベッドを2個作って横に並べてもコスト的に大きく変わりません。
※実際には木の厚みが加わるので1820mm×986mmになる。
レイズドベッドの必要な材料一覧
それでは最もコストパフォーマンスが良い1820mm×910mmの2x4を4段重ねにしたレイズドベッドを例にとって必要な材料をまとめてみます。
木材 長さ 個数 単価 備考 2x4 1820mm 8 360円 2x4 910mm 8 180円 1820mmの2x4を半分にカット 90mm角材 356mm 4 200円
以上、合計で5,120円となります。
価格はホームセンターで一般的に見かける価格を反映していますが、地域や時期による変動があります。
2021年現在、ウッドショックなどと呼ばれる木材の供給不足によりツーバイ材の価格も値上がりしています。表記の価格はウッドショック以前のものです。
ここまでが木材のみの見積もりで、実際には以下のような材料が必要になります。
材料 個数 単価 備考 防腐剤(クレオトップ2.5L) 1 2,200円 安価で防腐性能が高い防腐剤 ビス(75mm400本入り) 1 1,300円 一般的な箱入りの木用ビス ローラーバケセット 1 600円 塗装用のローラーと容器のセット 培養土(20L) 25 300円 安価な培養土
これらをすべて合計すると11,600円となります。
このうちほとんどが培養土の金額です。後述する方法で培養土の量を節約することが出来ますので参考にしてみてください。
2x4を始めとしたツーバイ材は、先述の通りSPFという素材からできています。
これはお世辞にも対候性に優れているとは言えないため、防腐剤を塗布する必要があります。防腐剤には色々な種類や色があるため、好みで選択しても構いませんが、安価で効果が高い塗料をお探しの場合には吉田製油所から販売される「クレオトップ」がおすすめです。
使い方や環境にもよりますが、約10年ほどは木材が長持ちします。
2.5L入りで2000円~2500円程度で購入できますが、今回例に示したレイズドベッドの素材をすべて塗装しても十分な量が余ります。レイズドベッドを2個、3個と追加で製作する場合には買い足しせずに使用することができます。
同様に、400本入りのビスも余りますので、レイズドベッドを追加で製作する場合に使用できます。
培養土は20L入り300円で計算していますが、より安価な培養土も販売されています。堆肥や腐葉土、赤玉土やピートモスをお好みでブレンドして、より安価に抑えることも出来るかもしれません。
今回例に示した1820mm×910mmのレイズドベッドでは約500Lの培養土が必要になります。
レイズドベッドの加工・組立
レイズドベッドの構造は非常にシンプルです。
防腐剤を塗布した材料をビスで止めて固定していきます。
こちらの画像のように、木材同士を合わせてビスで固定するだけです。
画像ではたくさんのビス止めをしていますが、ここまでたくさんビス止めしなくとも強度は十分確保できます。
ビス止めする際は、前もって下穴を開けておく必要があります。
ビスの径より少し細い穴を開けておくことで、ビス止めがスムーズで木材が割れる心配がなくなります。
培養土の節約方法
レイズドベッドが完成したら、後は土を入れてすぐに野菜を育て始めることができます。
ここで問題になるのが大量の土が必要になるという点です。
先ほど、20Lで300円の培養土を用いて計算した結果、培養土だけで7,500円もかかってしまう計算になりました。
この費用を節約するにはいくつかの方法があります。
- 安価な堆肥(バーク堆肥など)を混ぜ合わせる
- 赤玉土、黒土などをベースにオリジナル培養土を作る
- 枝葉を底に敷き詰める
このなかで特に効果的なのが3番目の「枝葉を底に敷き詰める」方法になります。
伐採した庭木や剪定した木の枝、草むしりで出た雑草などをレイズドベッドの底に敷き詰めます。
このように枝葉を敷き詰めることで、培養土を節約することができます。
敷き詰めた枝葉は自然に時間をかけて分解されていきます。