2019年5月9日加筆修正
賃貸(アパート・マンション)における木工や家具つくりといったDIYのための防音室を作りたいと思います。
自作防音室に関する情報は数あれど、その多くは音楽用です。
今回はDIYなどの作業用に特化した防音室を製作したいと思います。
また、据え置き型の防音室製作は簡単ですが、今回は賃貸向けということで引っ越しも視野に入れます。
分解・組立が容易であること、そして運搬性、収納時の収まりの良さなども重要なポイントです。
ポイントは以下の3点です。
- 階下への防振性・防音性に優れる
- 軽量で運搬しやすい部品に分割可能
- 分解した状態でコンパクトにまとめられる
あえて入れませんが、もちろん安く!目標は5万円以下です。
賃貸DIY防音室のポイント
まず始めに、DIYでは歌や楽器以上に振動(に近い音)の発生が多いです。
例えば電動工具やモーターなどの振動音、木の切断時の振動などが挙げられます。
擬音にすると「ガガガガガ!」というような音が多いということです。
もちろん丸鋸を使った時の「シュイーン」という音ような高音も発生します。
特に振動や低い音の対策はプロでも難しく、これが賃貸でのDIYを難しくしている要因です。
私も過去に関連する記事をいくつか挙げています。
私は過去に、こうした音を徹底的に排除した形でDIYを行ってきました。
しかし、無駄に手間もかかり楽しくなくなってしまったため、最近ではDIYをしていませんでした。
更に、賃貸住宅ではいつか引っ越すことを想定しなくてはいけません。
自作に限らず、基本的に防音室は一度設置すると分解や運搬が難しいものです。
分解や運搬が難しい構造の場合、運搬のためにゴミがたくさん出たり、部品の形が不揃いで運搬や収納が難しかったり、組立直すのに部材を買いなおす必要が出ます。
グラスウールなどを使えば粉塵の問題も発生します。
石膏ボードを使えば運搬時の破損の可能性も高いでしょう。
一方で、防音室では密閉性が最重要ポイントです。
分解や運搬を容易にするということは、防音性のを落とすことになってしまいます。二律背反です。
こうした相反する点にうまく折り合いをつけて、賃貸DIYに特化した防音室を作りたいと思います。
賃貸DIY防音室の構想
まず始めに、防音室の基本となるのが2重構造です
床・天井・壁を硬く遮音性のある素材で2重構造とします。
ここでは硬く遮音性のある素材として、安価に手に入る合板を使用します。
出来るだけ硬い方が良いため、OSBや針葉樹合板が良いでしょう。
防音室では柱を使用しないため、この合板が構造材(部屋を支える)の役割を果たします。
遮音性とは、音を遮り反射する特性を言います。
比重が高く重ければ重いほど遮音性が良いです。
音は振動です。
振動の特性として、重いものを振動させるには大きなエネルギーが必要です。薄い板を叩けばバインバイン振動しますが、コンクリートの壁を叩いても振動しませんね。
OSBや針葉樹合板は、窓ガラスと同程度の遮音性を持っているとされています。
ラワン合板でも構いませんが、表面が粗く手触りが悪いため特に事情がなければOSBや針葉樹合板が良いでしょう。
OSB や針葉樹合板は住宅の構造材にも使われるほどの強度があります。
手触りが良い合板といえばMDFが挙げられます。
しかし、MDFは吸湿性が高いため湿度により音(振動)への反応が変わり、防音室の素材には不適です。
ただし、合板だけでは少し心もとないです。
そこで遮音材と合板をセットで使用する方が良いでしょう。(建材として合板に遮音材を貼り付けたものが売られています。これを真似します)
更に、2重構造の隙間の空間には吸音材を積めます。
これにより音(振動)のエネルギーを減衰させます。
構造としてはこのようになります。①が外側、④が防音室内側です。
※①と④に遮音性と強度ある素材とありますが、今回は合板を採用しています。
- 合板で音を反射し、
- 遮音材で更に反射、
- 吸音材で減衰させ、
- 合板で最後に反射。
こんなイメージです。
この構造は防音室や一般的な住居でも採用されています。
部屋を遮る壁の構造はほとんどここに示したものと同じ構造です。
賃貸DIY防音室の部材選び
さて、ここで基本的な構想が固まりましたので予算と相談しながら部材を選択していきます。
①遮音性と強度ある素材
まず始めに①と④の遮音性と強度ある素材です。
これは先述の通り構造材を兼ねるためOSBか針葉樹合板を使用します。
ホームセンターで買うと良いのですが、私は大量の部材を運びたくないため、少々高くても通販を使用しています。
バリエーションも多く、カットも無料なためいつも楽天市場のオカモクさんを利用しています。
商品としてはこちらです。
②遮音材
次に遮音材ですが、性能や使い勝手に応じて色々な選択肢があります。
遮音材としての性能は先述の通り重さで決まります。
遮音材には「面密度2.0kg/㎡」というような表記があります。
この数字が大きければ大きいほど単位面積当たりの重さが重いため、遮音性能は高いと言えます。
色々な通販サイトを見て回り最も安いと思われるのがこちらの商品で、Amazonで販売されているものです。
送料無料で10m巻きで3500円ですから相当安い部類でしょう。
今回はこちらを採用します。
③吸音材
最後に吸音材です。
ウレタンやフェルト、ウールなど色々ありますが、おそらく最も吸音性が高く施工性も良いのが3M社のシンサレートでしょう。
衣服などにも使用されますが、極めて高い断熱性と吸音性を持ち、薄くチクチクもせず施工性が良いです。
最も安価で量も手に入れやすいのがこちら。Amazonで販売されているものです。
幅1.52mの5M巻きで送料無料8000円ですから、これまた相当安いです。
しかし、吸音材にとって重要なのは容積ひいては厚みです。
シンサレートは安価とはいえ薄いです。
グラスウールやロックウールなどの建材として使われる吸音材と同じ厚みを出そうとすれば、非常に高額になってしまいます。
要検討です。
追記:最終的にグラスウールを選択しました。
賃貸DIY防音室の設計
さて、おおよその部材選びが進んだところで設計です。
下図は底面を想定したものです。(壁や天井も同じ構造です)
サイズは1820mm*1200mmとしました。
材料の基本となる合板が910*1820くらいのサイズで販売されています。
1820*1200という寸法は、木取りを考えても無駄がなく安価に仕上げることが出来る寸法と言えます。
分解や運搬も考え、1820mm*1200mmを1枚で作らず、910*1200の2分割とすることにしました。
構造は、こんな風に「日」の字を横にした形に骨組みを作成します。
2分割するため横向きの「日」の字が2つ並んでいます。
骨組みは2×4材を使うつもりです。
この骨組みの間のピンク部分が吸音材を詰めるスペースです。
この骨組みは左右に2分割されていて、ボルトナットで固定するつもりです。
接合部には制振ゴムもしくは気密性向上のためにエプトシーラーを挟みます。
この骨組みを合板で蓋することで2重構造の完成です。
次に、さらに振動を抑え込む一手です。
この防音室の底面に防振ゴムを取り付けます。
こちらの商品も良いのですが、最終的にゴム足を採用することにしました。
比較的ゴムの柔らかいゴム足を大量に防音室下部に取り付けようというわけです。
▼こうした商品です。
本来はこういったエア式の制振ゴム足を検討していました。
また、同じようにエア式ではないゴムの制振ゴム足も検討していました。
しかし、このようなキチンとした制振ゴム足は、荷重に合わせた選択が必要です。私には選択が難しかったため、こちらの100個入りで安いゴム足を大量に取り付けた方が良いと判断しました。
最後に、さらに振動を抑え込む一手です。
防音対策などのためにジョイントマットを敷く方がいますが、探してみるとなんと厚みが20mmもあるジョイントマットがあることがわかりました。
これを防音室の下に敷いてやることにします。
こちらの商品です。
6980円しますが、16枚入りと言うことで二重に敷いてもあまりあるほどです。
そこで防音室の下だけでなく、実際に作業する防音室内の床にも敷き詰めることにします。
結果として真横から見るとこんな形になります。【訂正】遮音材と吸音材の配置が逆でした。防音室内側にシンサレート、外側に遮音シートです。
EVAマットと一番下のOSBはなくても良いと思います。
予算的に余裕があれば採用し、余裕がなければ使いません。
壁面と天井について
賃貸住宅(アパート・マンション)での防音室作りにおいては、底面が最も重要です。
床を伝った振動が隣室や階下、上階まで伝播することで騒音となるからです。
つまり、底面以外はある程度簡素な作りでも問題ありません。
防音は「密閉された箱」を作って初めて機能します。
そこで底面以外は底面と同じ構造にするものの、もっと薄く軽量に仕上げることにします。
OSBは9mm未満の薄さがないためラワン合板を使用します。
※4mmでは薄すぎるかもしれませんので、厚くするかもしれません。
底面と同じように、壁や天井もすべてある程度コンパクトに分割できるようにします。
サイズは木取りが無駄なくできる910 * 600mmとします。
構造は基本的に底面と変わりませんが、底面より薄く製作します。
骨組みを1x2材で製作します。底面と違ってロの字型とします。
更に4mm厚のラワン合板でサンドイッチにします。
厚みは27mmになります。
側面と天面は、この910 * 600 * 27mmの部品が24個あれば埋めることが出来るわけです。
つまり、この防音室は、底面の部品(910 * 1200mm)が2つと壁と天面の部品(910 * 600mm)が24個で構成されます。
分解後もスマートに収納しておくことが可能です。
全体像
全体像としてはこのようになります。
高さは910mmを2段重ねしているため、内寸で1820mmあります。
私の身長だとギリギリなのですが、座って作業することがほとんどなのでこれで良しとします。
ワイヤーフレームではこんな感じ。
扉については作ってみてから考えようと思っています。
単純に前面か側面のパネルにヒンジを着けてもいいし、実物を前にすれば何かもう少し良いアイディアが浮かぶかもしれません。
現時点では構想ですが、実際に制作する際にはまた報告したいと思います。
そもそも階下への振動を防げれば良いのであれば、底部だけで十分なのでは?という疑問もあるのですが、何はともあれ構想中です。
▼こちらへ続く