小鳥を飼育していると、小鳥から白い粉が落ちていることに気がつくはずです。
ケージの中では意外と気が付きませんが、放鳥すると部屋の所々に白い粉を見つけて「なんだこれ?」と最初は疑問に思われることでしょう。
飼育期間が長くなると、段々とその白い粉が小鳥が毛づくろいをした場所に溜まっていることに気がつくはずです。
この小鳥から落ちる「白い粉」、一体何者なんでしょうか?病気なのでしょうか?
白い粉の正体は「脂粉」
タイトルにある通り、この白い粉の正体は「脂粉」と呼ばれるものです。
ネットでは皮脂やフケのようなものと言われることが多いです。
しかし、実際にはちょっとだけ違っています。
せっかくなので、脂粉の正体を説明しつつ、鳥類の皮膚や脂質関連の知識をいくつか紹介しましょう。
鳥類の皮膚
鳥類の皮膚は我々人間を含む哺乳類の皮膚とそれほど変わりません。
しかし、哺乳類の皮膚に比べると弾力に欠け、羽毛で覆われているために薄いです。
また、人間のように「皮膚腺」を持ちません。
「皮膚腺」とは、汗を出す「汗腺」や皮脂を出す「皮脂腺」、母乳を出す「乳腺」などを指します。
つまり鳥の皮膚は基本的に乾燥気味です。
脂粉の正体、尾腺の皮脂
鳥類には皮膚線がありませんが、限られた部位にいくつかの腺を持ちます。
その一つが「尾腺」です。
鳥は必ずお尻のあたりをクチバシで触れてから毛づくろいを行います。
これは尾腺から分泌される脂肪分たっぷりの皮脂をクチバシにつけているのです。
この尾腺から分泌された皮脂を羽全体に塗りつけているわけです。
この皮脂を羽全体に塗りつけることで、羽の防水性や保温性を高めています。
毛づくろいがうまくできない雛は、この作業ができないために羽の防水性や保温性が低いというわけです。
実はこの尾腺から分泌される皮脂の効果はまだわかっていないことも多く、今後新たな発見があるかもしれないちょっとだけ未知の代物なのです。
鳥類の皮膚病
鳥類の皮膚は薄く乾燥していると説明しました。
それでは皮膚が弱いのでは?と思われがちですが、実は鳥類と皮膚病は無縁です。
皮膚に問題が発生する場合、外傷に起因するものや他の病気の症状の一つとして発生することはあっても、皮膚病自体になることは極めて稀と言われています。
脂粉が多すぎる場合は栄養欠乏かも?
脂粉、というか白い皮膚片があまりにも多く落ちる場合には栄養不足がひとつの原因として考えられます。
例えば、ビタミンA欠乏症になると皮膚が過剰に乾燥して皮膚片が落ちることがあります。
穀物や果物あるいはそれらを含む配合飼料やペレットを与えている限りは滅多に発生しません。
思い当たるフシがあれば、餌を変えてみるなど対策をしてみましょう。
鳥における脂質欠乏
鳥類において、必須の脂質としてリノール酸が挙げられます。
脂質が不足すると一部の脂溶性ビタミンの吸収不良による栄養不足、脂質が過多になるとこれまた一部の栄養が吸収しにくくなります。
ただし、ごく一部の鳥類を除けばペット用に飼育される小鳥に関しては脂質欠乏が起こることは稀です。
市販の鳥用の餌を与えている限りは心配する必要はないでしょう。