賃貸住宅や近隣への騒音が気になる環境で、切断工具に悩んでいませんか?
私も長らく悩みに悩み、遂に解決策を見つけ出しました。
それがバンドソーです。
バンドソーとは、大きな車輪に帯状の刃を取り付け、モーターでぐるんぐるん回す大掛かりな機械です。
機械自体も大きく非常に高額です。
丸ノコなどの一般的な切断工具で使用される整流子モーターではなく、誘導モーターを使用しており、ギアなどを介していないため音が静かです。
切断工具の特徴をざっくりまとめるとこんな感じです。
- 丸ノコ・スライド丸ノコ・卓上丸ノコ:うるさい
- テーブルソー:安価な製品は整流子モーターでうるさい
- 糸鋸盤:ややうるさい、振動もある、直線切りや厚板が苦手
- バンドソー:静か・大きい・高額
そんな中で、DIYの強い味方「高儀」から超コンパクトな卓上バンドソーが2万円で販売されています。でかくて高いというバンドソーの欠点(?)を見事克服した製品です。
前々から気になっていたものの、あまりの安さに飛びつけませんでした。
しかし、先日意を決して購入を決めました。
当ブログでは「静かなDIY」カテゴリーでDIYの騒音対策や、静かな作業法、工具について解説しています。
高儀 卓上バンドソー RBS-195A
今回購入したバンドソーがこちらです。
バンドソーは一般的にホイールサイズで大きさを示すことが多いですが、この製品は8インチホイールを搭載しています。
屈指の小ささと言って良いレベルで小さいです。
バンドソー RBS-195Aのベースのサイズは335mm×250mmで、A4用紙と比べてもこんなに小さいです。
A4用紙よりちょっと大きいスペースがあれば、設置できてしまうというわけです。
付属品には、直線切りに使うフェンスこと平行ゲージ。
そして角度切りに使う角度ゲージ。
そしてテーブルは鉄製で、テーブル自体の角度も右下がり45度まで傾斜させることが可能です。
モーターは静かな誘導モーターを搭載しています。
スイッチはシンプルなオン・オフスイッチで、キーを抜くとロックすることもできます。
事前調整
バンドソーは初めてということで、説明書を読み込むと事前調整が必要なことがわかります。
刃が高速回転する工具ですから、調整は忘れずに行いたいです。
ここでは3種類の調整が必要となります。
1. ブレードテンション調整
ブレードの張りを調整します。
ブレードは3~4mm程度たわむ張り具合が適正です。
本体上部のノブを回すことで、ブレードを張ったり緩めたりすることができます。
なお、使い終えたらブレードのテンションを緩め、再度使う時に改めて調整する必要があります。
数回使ったら慣れてしまい、10秒もあれば調整が済むようになりました。
2. ブレード軌道調整
このバンドソーには幅6.35mm(1/4インチ)のブレードが付属しています。
このブレードが、ホイールの回転でぐるんぐるんと回るわけです。
万が一にでもホイールからブレードが外れてはいけません。
ホイールの中央をブレードが通るように、ブレードの前後位置を微調整するのがこのブレード軌道調整です。
本体背面のノブを使用して調整します。
手でホイールをゆっくりと回しながら、ブレードがホイールの中央に来るように調整していきます。
なお、この時にホイールを早く回してはいけません。
説明書によると、調整が甘い状態でホイールを早く回すと、ブレードが外れてしまう恐れがあるそうです。
ホイールを手で回すときは、ホイールの保護カバーを開きます。
保護カバーはコインやマイナスドライバーで90度ひねるとロックが外れ、開く構造です。
3. ブレードガイド調整
最後にブレードガイドの調整です。
バンドソーのブレードは、木材などの切断時に押されて左右にたわんだり、後ろに押されたりします。
ブレードがたわみすぎたり、ブレードが後ろに押されるとブレードの破損や脱落の原因になります。
これらを抑える役割があるのが「ブレードガイド」です。
上下に1つずつあります。
左右のたわみを抑える「ガイドピン」。
そして、後ろへ押されないようにする「ベアリング」。
この2つが備わっています。
この2つの位置を適切に調整してやる必要があります。
基本的にいずれもブレードに触れないギリギリの位置まで調整します。
左右を抑えるガイドピンの調整
ブレードの左右を抑えるガイドピンを調整します。
ガイドピンはブレードの左右から飛び出た鉄の棒です。
ブレードがたわむと、この鉄の棒に触れてそれ以上たわまなくなるわけです。
ガイドピンの固定は、イモネジで行われています。
付属の六角レンチで、イモネジを緩めてガイドピンの位置をブレードに触れそうで触れないギリギリの位置に調整します。
後ろを押さえるベアリングの調整
ブレードの後ろを抑えるベアリングを調整します。
ベアリングは、ブレードの後ろに設置されています。
ブレードが後ろに押されると、このベアリングに触れてそれ以上押されなくなります。
ベアリングの固定は、イモネジで行われています。
付属の六角レンチで、イモネジを緩めてベアリングの前後位置を調整します。
ブレードに触れそうで触れないギリギリの位置に調整しますが、説明書によれば0.5mm~1mm程度にせよ、とのことです。
ガイド全体の調整
基本的に以上2点を調整すればOKです。
しかし、もし調整代が足りない場合や、全体が傾いている場合には、ガイド全体の角度調整をすることができます。
上のガイドはイモネジで固定されているため付属の六角レンチでネジを緩めて調整します。
下のガイドはボルトで固定されているため、付属のスパナでボルトを緩めて調整します。
テーブルの取り付けと設置
各部の調整を終えたらテーブルを取り付けます。
テーブルがついたままでは各部の調整が行いにくいため、開封後はテーブルを取り付ける前に各部の調整を行ってください。
テーブルは、角度調整可能な台座の上にボルト4本で固定するシンプルな構造です。
テーブルの角度や位置を微調整するような機能はありません。
ベースにはM8ボルトまでのボルトが使える穴が四隅に空いています。
直線切りの精度
直線切りにはフェンス(並行ゲージ)を使用します。
並行ゲージに木材をあてがいながら木材をブレードへ送ります。
こちらが切断面です。
赤松の集成材で、厚みは18mmです。
柔らかい木材で厚みも薄いため、音もなくサクサクと切断できます。
直線の精度は思った以上に高く、一般的なDIY用途であれば必要十分でしょう。
直角は僅かにズレが確認出来ます。
丁寧に木材を送り込むことで、改善されるかもしれません。
角度切りの精度
次に角度ゲージを使って角度切りをします。
45度の角度切りをしてみました。
切断面は相変わらず綺麗で、今度は断面の直角もしっかりと出ています。
木材を送り込む時に手元が狂うと直角が乱れるみたいです。しっかりと木材を手で抑えて送り込めばなかなかの精度で切断できます。
45度の定規にあてがいましたが、完璧に45度でカットできました。
ただし、付属の角度ゲージは若干のガタツキがあります。
角度をセットしたら、別途分度器などで角度をチェックすることと、木材を送り込むときは角度ゲージをしっかりと溝にあてがうことで正確な角度切りができます。
騒音値の測定
デシベル計を使って騒音値を測定しました。
まずは無音状態が45dbA程度です。
防音室内で、換気扇だけが回っています。
次にバンドソー RBS-195Aのスイッチを入れると空転時で70dbA台前半。
おおよそ72~75dbA程度です。
誘導モーターの駆動音はほぼありませんが、各部のスレなどがあってこの音量です。
ちなみにブラシレスモーターのドリルドライバーの空転時と同程度の音量です。
掃除機は静かなもので70dbA程度、パワフルな掃除機だと80dbAを軽く超えます。
ジグソーなどは80dbA台後半から90dbA台まで行きます。
なお、バンドソー RBS-195Aで木材を切断すると柔らかい木材ではほぼ変わりません。
硬い木材や厚い木材を切断すると、ブレードがガイドに押し付けられるため音量があがります。最大で85dbAまで上昇したのを確認できました。
ブレードがガイドに接触することが原因なので、木材を送り込む力を緩めればそこまで音が大きくなることはありません。
ということで、バンドソー RBS-195Aの空転時の音はかなり静かな部類です。
ただ、微調整を加えればまだまだ静かにできる余地がありそうなので、もう少し調整等を突き詰めたいと思います。
誘導モーター自体はほぼ無音ですから、後はその他の駆動部の調整やスレをなくせばもっと静かにできるはずです。
総評
このバンドソー RBS-195Aは2万円という低価格ながら期待を超える性能を持った機械でした。
直線切り・角度切りの精度も十分で、ブレード幅が1/4インチということで糸鋸盤のような曲線切りも可能です。
DIYで一般的に使用する木材であれば、それほど抵抗なくカットすることができるはずです。
騒音もその他の切断工具に比べればずっと静かです。
騒音を気にする人、静かにDIYしたい人にとってはベストに近い選択だと思います。
逆に、この製品が向かない方は予算に余裕のある方です。
予算に余裕があるのであれば、もっと良いバンドソーを購入したほうが精度・パワーもより高いでしょうし、信頼性や後々のサポートも手厚いはずです。