「バフェットの財務諸表を読む力」を読みました。
投資を学ぶための初めての1冊としてはなかなか適当だったのではないかと思います。
この本では著名な投資家、ウォーレン・バフェットの投資手法に学ぶ優良株の選び方が記されています。
彼は長期の取引を主体としており、短期取引をメインに考えている私とは違った考えをしていますが、それでもこの本は良い企業を選ぶための基本知識として非常に役立つ知識を提供してくれました。
本書では大きく分けて貸借対照表と損益計算書の読み解き方が書き記されています。
その中でも初心者である私にもわかりやすく実践しやすそうだった4つのポイントを自分なりにまとめてみました。
①粗利(売上総利益)を見れば企業の優位性が見えてくる
損益計算書に記載されている粗利(売上総利益)は企業の持つ力を示し、競合他社と比較して優位性があるかどうかを見るための最もわかりやすい数字です。
この数字は売上高からその原価を差し引いただけのシンプルな数字です。
ここからわかるのは「安く仕入れて高く売れているかどうか」という一点です。
経営に苦労している企業、競争に悪戦苦闘している企業はどうしても「値引き」することで競争に勝ち生き残るしかありません。
そうすると自ずとこの粗利という数字が下がってきます。
競合する会社とこの数字を比較し、低い企業は長期的に伸びていく可能性が低く、高い企業は他社に打ち勝ち伸びていく可能性が高いということが出来ます。
本書によれば40%がひとつの基準とされていますが、これは業種によってもさまざまであるため競合する会社のデータをすべて並べてみて相対的に高い企業を選んでいくことが重要になります。
②販売費及び一般管理費は安定して低いことが望ましい
販売費及び一般管理費には宣伝広告費や給与、報酬、出張旅費などが含まれています。
粗利に対するこの数字は安定していることと低いことが望ましいです。
粗利に対する販売費及び一般管理費を見るということで、経営が悪化して粗利が下がれば相対的にその比率は上がってしまいます。
つまり、この比率を見ることで粗利が十分に上がっており、それに対する適切な営業経費が支出できていることがわかります。
この比率が高い場合には売上を確保するために多額の経費がかかる優位性のない企業ということが言えます。
また、比率が安定しないということは競合他社などとの競争のなかで悪戦苦闘を強いられていることを示しています。
③研究開発費を必要とする企業は競争に弱い
販売費及び一般管理費と同様に研究開発費も低いことが望ましいです。
研究開発費はその名の通り新製品や技術の開発に必要な経費です。
特にこの費用の比率が多い企業は常に新しい製品・技術が求められる企業ということです。
逆に言えば、競合する会社のなかでトップに立つ企業であっても、研究開発が遅れるだけで簡単に逆転され、競争の中で食いつぶされてしまうということを意味しています。
そのためいくら安定した粗利を出している企業であっても、研究開発費の比率が多い場合や激しく上下している場合にはその企業は長期的に優位性があるとは言えなくなります。
本書によれば、研究開発費が多い企業は「先天的欠陥」を持っているとさえ言っています。
④常に右肩上がりの純利益
純利益は常に右肩上がりであることが望ましいです。
純利益の大小や増減ではなく、数年あるいはもっと長い期間に渡って純利益が上昇傾向にあることが重要です。
また、売上高に占める純利益の割合も重要です。
競争が激しい場合や安定した成長が見込めない業種では売上高に占める純利益の割合は低くなる傾向があります。
本書によれば20%をひとつの大きな指標としています。
20%以上の売上高に対する純利益を維持しながら純利益を伸ばし続けている企業には高い優位性があると見込まれます。