2020年1月29日加筆修正
食器洗い乾燥機などを取り付けるために水道を分岐するには「分岐水栓」の取り付けが必要です。
分岐水栓の取り付けをDIYで行う場合には、「カバーナットの固着」が難関として立ちはだかります。
この記事では、DIYによる分岐水栓の取り付け手順に加えて、カバーナットが固着していた場合の外し方も解説します。
水栓の確認と分岐水栓の選定
今回例として紹介する水栓はINAX SF-C420SXです。
よく見かけるタイプのシングルレバー式の水栓です。
ネットでは、カバーナットが固着して苦戦されている方の情報が散見されます。
なお、このモデル以外の水栓であっても手順はほぼ同じです。
そして、分岐水栓はパナソニック CB-SXH7を使用します。
パナソニック製の食器洗い乾燥機用の分岐水栓となります。
水栓交換に必要な道具
分岐水栓を取り付けるために必要な道具を紹介します。
レンチ
まず始めに、必ずレンチが必要になります。
水栓は大きな「カバーナット」あるいは「固定ナット」と呼ばれるナットで固定されています。
このナットの直径が40mm前後(水栓によって異なる)ありますから、モンキーレンチであれば40mm以上の口が開く必要があります。
ホームセンターなどで市販されているモンキーレンチは大きくても36mmくらいの口開きですが、これでは足りません。
例えばモンキーレンチのなかで安価なものだと以下のような商品があります。
トップ(TOP) エコワイド HY-42は46mmまで口が開きますから、水栓交換に利用できます。
モンキーレンチも意外と高額ですが、水栓を自身で交換する人は工事費用の節約を目的としているはずです。また、40mm以上のナットを外す機会など、普通の人にはまずありません。
つまり、安物を選んでおいてもかまわないです。
モンキーレンチより安価な選択肢として、モーターレンチと呼ばれるレンチもあります。
見ての通り、モンキーレンチとは異なる形状をしています。
モンキーレンチのように口の開き幅を調整できますが、モンキーレンチより大きく口が開きます。
こちらの商品で60mmのナットまで対応できます。
価格もモンキーレンチよりお手頃で、私はこちらを購入しました。
なお、レンチの代わりに大きなプライヤーを使うという手もありますが、もし固着していた場合には力不足です。また、価格もモンキーレンチやモーターレンチより高額なことが多いため省略します。
ドライバー
一般的なプラスドライバーとマイナスドライバーがあればOKです。
水栓ドライバー
水栓ドライバーは、分岐水栓の交換前に止水栓を締める時に使う道具です。
マイナスドライバーや10円玉なんかで代替できますが、ここも固着の可能性があります。
万が一固着していた場合には、マイナスドライバーや10円玉ではうまく力がかからず、止水栓が締めることができません。
ただし、止水栓にはいくつか種類が存在します。
手で開閉できるタイプも存在しますから、まずは交換手順を参考に止水栓を確認してみてください。
急がれないのであれば、必要になってから購入すれば良いでしょう。
カバーナットが固着していた場合に必要な道具
続いてカバーナットが固着している場合に必要な道具を紹介します。
固着していない場合には必要ありません。
「固着していて外れない!」という方は購入を検討してみてください。
なお、似たような道具を持っていれば代用可能です。
クランプ
100mm程度の口の大きさがあるCクランプがあると良いです。
使い方は後述しますが、形状によってはうまく機能しない場合があります。
ショックレスハンマー
ある程度の重さのショックレスハンマーがあると良いです。
あるいは通常のハンマー、とんかちなどでも構いません。ダンベルなど重さのあるものでも代替できるかもしれません。
ショックレスハンマーとは、その名の通り叩いても手に衝撃が伝わらないハンマーです。
分岐水栓の取り付け手順
分岐水栓の取り付け手順を解説します。
カバーナットの固着対策だけが知りたい方は、手順2.5までお進みください。
手順1:止水栓を閉める
「止水栓」とは、その名の通り水の元栓です。
止水栓を閉めることで、ガスの元栓を閉めるように蛇口から水が出なくなります。
この工程は各家の環境によって作業手順が異なります。一般的なの方法としては戸建て・マンション共通して屋外にある止水栓を閉めることです。
屋外にある止水栓を閉めると、基本的に家のすべての水が止まります。
一方で、手軽な方法はキッチンのシンク下にある止水栓を閉める方法です。
システムキッチンの下の収納スペース(水道の真下)にこのような水が通るパイプと止水栓が確認できるはずです。
▼ここにお湯と水の2つの止水栓があります。
金属の2本のパイプはそれぞれお湯と水を供給するパイプです。
グレーの塩ビパイプは排水を流すパイプです。
お湯は給湯器、水は水道管から供給されます。
拡大するとこうなっています。
赤がお湯で、青が水ですね。
ここは先ほど紹介したマイナスドライバーや10円玉、水栓ドライバーで開閉することができます。
ネジと同じで右回し(時計回り)に回すと閉めることができます。
右回し(時計回り)に回らなくなるまで回すと、水が止まります。
逆に左回りで、徐々に水が出始めます。
止水栓を閉めたら、蛇口をひねってみて水・お湯が出ないことを確認しましょう。
我が家では、この止水栓のお湯側が固着していました。
お湯側は先述の通り給湯器から温められたお湯が供給されています。
つまり、給湯器の止水栓を閉めてやることで同じ効果が得られるわけです。
給湯器は、ベランダや玄関の外の壁に取り付けられていることが多いです。
給湯器のカバーをあけて、栓を閉めます。
▼ベランダの給湯器。我が家の給湯器はノーリツ GT-2050SAWX-2でした。
▼ふたを開けると、わかりやすく開閉表示がある栓を発見。ぶれてしまっていた(^^;
これを手で「閉」の方向に回して閉めて、無事水もお湯もでなくなりました。
手で回せる分、シンク下の止水栓を閉めるより簡単です。
手順2:水栓の取り外し
水が止まったことを確認し、水栓を分解していきます。
まずはレバーを外します。
レバーを固定するネジは、レバー根本にあります。
ネジはキャップで隠されているので、キャップをマイナスドライバーなどでこじって外します。
▼レバーの根本に、キャップを発見。
▼キャップをあけると、プラスねじが確認できます。
プラスねじを外すと、レバーが外れます。
▼そして、こちらが問題のカバーナットあるいは固定ナットと呼ばれるものです。
丸い部品ですが、工具をかけるために2カ所切り欠きがあります。
写真だと丸いカバーの手前と奥側に切り欠きがあり、レンチを引っ掛けることができるわけです。
ここにレンチをかけて回してやります。
今回取り外すINAX SF-C420SXのカバーナットのサイズは38mmです。
これを冒頭で紹介したモーターレンチ(スーパー モーターレンチ MF230)で回そうとしますが、案の定動きません。
完全に固着しており、水栓本体がまわってしまいます。
水栓本体が動くと、接続されている水のホースに負担がかかって損傷させてしまう可能性があります。
水栓本体を回らないように手でつかみ、レンチでカバーナットを頑張って回そうとしますが、うまくいきません。
通常、カバーナットは手で回せる程度の力で締め付けてあります。
つまり、手で回せなければ固着と考えて良いでしょう。
DIYに不安があれば、その時点で業者に依頼するのが良いでしょう。
もし業者に依頼する場合には、大手の見積無料を謳う会社に依頼しましょう。
注意点や相場をこのブログの末尾で紹介しますので、参考にしてみてください。
手順2.5:固着したカバーナットの取り外し(自己責任)
固着したカバーナットが外れない原因は、カバーナットと一緒に水栓本体が回ってしまい、うまく力をかけられないためです。
解決策は非常にシンプルで、水栓本体を固定し、しっかりと力をかけてカバーナットを緩めれば良いわけです。
ここで必要になってくるのが冒頭で紹介したクランプです。
100mm程度のC型クランプが望ましいです。
DIY好きなら持っていると思います。買っても数百円です。
まずはじめに、このクランプで水栓本体を挟み込んで、ガッチリ保持します。
- そのままクランプを使用すると水栓に傷がつきます。
- 水栓はメッキ加工が施してあり、滑りやすいです。
以上2点の理由から、滑りにくいゴム系のものをクランプと水栓の間に挟み込んで使うと良いでしょう。
滑り止め付きの手袋やゴム手袋など、手持ちの柔らかく薄いゴム製品を探してみてください。
▼私の場合はゴムの滑り止め付き手袋と、家具の下に敷くゴムパッドの余りを挟みました。見苦しくてすみません。
このようにクランプで保持すると、クランプが水栓の後ろは壁に引っかかり水栓本体が回らなくなるわけです。
注意
- クランプの力は強いため、締め付けすぎると水栓が破損する可能性があります。クランプはそれほど強く締めこむ必要はありません。
- 水栓の背面の壁にもクランプが強く押し付けられます。壁が破損しないよう、クランプと壁の間にも緩衝材を挟んでください。
ここまでくれば、あとはカバーナットを全力で緩めればいいわけです。
ハンマーを使っても構いませんが、まずはジワジワと体重をかけると良いです。
体重をかけても力をかけてもどうしても動かない!
そんな時になって初めてハンマーの登場です。
ハンマーを使う時は誤って指や周りのものを巻き込まないように注意してください。
なお、一度動いてしまえば後は手でするすると回ります。
一度動き始めたにも関わらず手では動かない重さだと、ねじ山が潰れている可能性があります。
▼レンチ(スーパー モーターレンチ MF230)と無反動ハンマー(E-Value ショックレスハンマー EV-42)
▼なんとか外れました。
最後にカートリッジと呼ばれる部品を取り外します。
これは特に力を入れずともスポッと外れます。
手順3:分岐水栓の取り付け
もうここまでくれば、難しいことは何もありません。
分岐水栓にある説明書を読みながら、分岐水栓を取り付けます。
取り付けるには向きがありますが、元の水栓と分岐水栓の凹凸が噛み合うようになっており、間違えることはありません。
締め付けも、手で締めるだけで十分ですが、カバーナットは一応レンチで軽く締めておきます。
このような形で完成です。
水漏れしている場合の裏技
マンションやアパートの賃貸にお住みの方は、水道からの水漏れがあれば管理会社に連絡することで、管理会社負担で水道業者を手配してくれます。水漏れの修理の場合には、それが例えたまに漏れるだけであってもパッキン交換になります。
パッキン交換にはこのカバーナットを取り外す必要がありますから、パッキン交換後であれば固着が解消されているわけです。
くれぐれも本当に水漏れしている場合のみ手配してみてください。
手順4:食器洗い乾燥機のとりつけ
ここは特記することがありません。
手順通りに取り付けます。
業者に依頼する場合の注意点
最後に、どうしても外せない場合やDIYに自信がない場合の業者への依頼時の注意点を紹介します。
水道工事では時折 ぼったくり が話題になります。
そのため、水道工事の業者を警戒している方も居られるでしょう。現実には悪質な業者はごく一部ですが、そのごく一部に当たらないための方法を紹介します。
良い業者の見つけ方その1:購入店に相談する
最も簡単な方法は、食器洗い乾燥機を購入した購入店に相談する方法です。
新品で買った場合はもちろん、購入から時間が経ってからの引っ越し時であっても依頼を受けてくれるケースがあります。特に購入店が大手の家電用品店であれば心配はいりません。水道工事業者にとって、大手家電用品店は貴重な取引先です。ぼったくりに合うケースはまずないでしょう。
良い業者の見つけ方その2:管理会社に相談する
もしあなたが賃貸物件に住んでいるのであれば、管理会社に相談して業者を紹介あるいは仲介してもらう方法があります。
賃貸物件の管理会社は、必ず付き合いがある水道工事業者がいます。なぜなら、賃貸物件で水道の水漏れなどがあった場合には協力業者に修理を依頼するからです。特に管理会社が大手の不動産会社であれば心配はいりません。水道工事業者にとって、不動産管理会社は貴重な取引先です。ぼったくりに合うケースはまずないでしょう。
良い業者の見つけ方その3:事前見積もりが可能な業者に依頼する
本来であれば、上記2つの方法のいずれかで対応したいところです。
しかし、インターネット通販で食器洗い乾燥機を購入して、購入店が対応してくれない場合や、戸建てに住んでいる場合など、どうしても対応できない場合があります。
その場合には、直接水道工事業者に依頼する必要があります。
基本的にぼったくりに合うケースは少ないわけですが、最低限の条件として見積無料を謳う業者へ依頼してください。基本的に大手の聞き覚えがあるような水道工事業者であっても、実態としては下請けである地域の水道屋さんが派遣されてきます。
例えば大手不動産会社の提携先として知られる【水道修理屋】 などが挙げられます。
水道修理屋では、見積・相談・出張無料で明朗会計を謳い文句にしており、要するに「ぼったくりしませんよ」ということをアピールポイントにしています。
業者に依頼した場合の現実的な費用と作業内容
最後に、業者に依頼した場合の作業費用の例を紹介します。
水栓の取り外しと分岐水栓の取り付けは、慣れた業者であれば10分程度で終えられる内容です。
また、固着していた場合には、止水栓から上の水栓ユニット全体を取り外し、カバーナットを取り外します。
迎え入れてから作業を終えて会計を終えるまで、1時間以内の作業です。
費用としては、実質的には作業時間と交通費、そしてもちろん業者の利益も必要ですから1万円~2万円程度ということになるでしょう。
なお、家電量販店で水栓の取り付けを依頼した場合には、もう少し安い価格で取り付けができるかと思います。
もし自信がない場合には、購入時に取り付けもあわせて依頼するのが望ましいですね。